1.不安を生むコミュニケーション不足

 最初の問題は「コミュニケーション不足」です。これは誤解や行き違いの原因になり、放っておくと深刻なトラブルに発展する可能性も。サンダースはこうした状況はすぐに対処すべきだとしています。


  プロジェクトの最初の話し合いを急いで進めてしまった場合、あなたが直面している問題はこれに該当するかもしれません。進捗報告が足りなかったり、プロジェクトが今後どう進んでいくのか気になったり、不安になったりするのもこんな時。そしてこうした時に限って、トラブルは簡単に対処できた段階を過ぎてから明るみに出るものです。
2.コミュニケーション過多でイライラが募る

 反対にコミュニケーション過多な状態も、ストレスの原因になります。これは延々と続く会議が行われる一方で、実際のプロジェクトの進展がほとんどない状態などです。また、次々とくる質問に答えたり、重要でない情報をより分けたり、自分の責任とは関係ないささいな問題まで報告されるよう状況もこれに当たります。
3.コミュニケーション過多でイライラが募る

 上記の2つがクリアできていても、そもそも双方の理解が行き違っている場合もあります。


 コミュニケーションが適度な頻度と量であっても、双方の理解が伴わないこともあります。周囲が何を求めているかを分かっていたつもりなのに、いざ自分の仕事を見せてみるとがっかりされるといったことはこうした状況下で起こります。他にも、誰かの質問に十分な回答を提示したつもりが、相手がそれを理解できていない状況や、もっと致命的なのはお互いが同じ作業をやってしまったり、反対にお互いが相手があるタスクを担当すると思い込んだ結果、何かが見落とされたり、カバーできていない状況などがこれに当たります。

スムーズにコミュニケーションを取るためには?

 さて、次は上記の問題を解決するための方法です。コミュニケーションの問題は多様ですが、以下のアプローチを知っておけばたいていのことは解決可能だとSaundersは言います。


1.すばやい対応
 コミュニケーションにどこか違和感を感じた場合、そのまま待っても、ことが上手く進むことを願っても、その状況を無視してもダメです。すぐに行動しましょう。「後で対処すれば大丈夫」という考えは、後にトラブルや誤った期待を招く可能性を大きくします。とにかく問題と向き合いましょう。その結果、大きな行き違いが、プロジェクトを非効率にし、ストレスの原因になるという判断から、共同・提携を取りやめることにもなるかもしれません。もしくは、既にプロジェクトが進行している場合は、今後踏むべきステップを決めるための話し合いを設ける必要があるかもしれません。
2.何がいつまでに必要なのかを明確に伝える

確実に双方を混乱させたり、がっかりさせてしまうのが、「何を」、「いつまでに」、「どんなかたちで」提出してほしいかが明確になっていない状態です。どんな状態がタスクの完了を意味するのか分からない場合は話し合いを設け、具体的な詳細を決めましょう。例えばあるタスクに対して、「8月10日に設立者のインタビュービデオ、ニュースレターへの申し込みフォームが掲載されたウェブページを一般にリリースする」というくらいの精度にまで持っていくべきです。
3.個人、チームにもっとも適したコミュニケーション方法を採用する

 ひとりひとり得意とするコミュニケーションの方法は異なります。しかし、個々がチームの中で効果的な動きをするためには、全員が満足できるコミュニケーションの頻度を設定する必要があります。それは、週1の報告会かもしれませんし、決められたタイミングでの進捗報告かもしれません。

 また、Saundersは自分が必要としているやりとりを、「◯◯の場合は、◯◯して下さい」といったように事前に指定しておくことも手だと言います。


 例えば、「オフィスに1週間いない場合は、出発する数日前に進捗報告をするように」や、「プロジェクトに遅れが出るような問題に直面したらすぐに連絡するように」といったものがこれに該当します。また、ある特定の情報はいらないといった否定形の指示も有効です。これは例えば、「印刷業者とのやりとりのすべてにccしないで」とか「あなた自身が解決できる問題ならいちいち報告しないで」といったものです。
4.違うコミュニケーションの方法を試してみる

 人によって得意なコミュニケーション方法は異なります。文章を介したやりとりには長けているのに、実際の会話は苦手な人もいます。逆に文章よりも図やイメージで考えた方が理解が早い人もいます。相手とのコミュニケーションが上手くいかない時は、違う方法を試してみるのもひとつの手です。


 自分の頭の中のアイデアを相手が理解できるかたちに翻訳するために、あらゆるやり方を試しましょう。そして、相手にも同様のことをしてもらいましょう。

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 さて、いろいろを試したものの、結局上手くいかないという場合はどうすればいいのでしょう?Saundersはその時は無理をせず、諦めるのがベストだと言います。少しシビアにも思えますが、やはり仕事での有効なパートネーシップはスムーズなコミュニケーションなしでは成立しないものなのです

 みなさん参考になりましたか?職場でのコミュニケーションをぜひ振り返ってみてください。改善の余地がおおいにあるかもしれません。

99U「Diagnosing (And Curing) Your Communication Issues」(Elizabeth Grace Saunders著)をもとに翻訳、再構成

翻訳・構成/相磯展子