3. 上司への忠誠心を見せる

 ここで重要なポイントは忠誠心があるように見せかけるのではなく、本当に忠誠心を持つことです。あなたのエゴが邪魔するかもしれませんが、物事の判断はモラル、安全、道徳に反していなければどちらに転んでもさほど重要なことではありません。

 ここであなたは自分のこだわりを一度捨てる必要があります。あなたが寛容な態度を見せない限り、上司も意志を曲げません。

 Marquetはこのことを、コンピューターエンジニアがUI(ユーザーインターフェイス)をどうデザインするかという判断をする時のシチエーションを例に解説しています。

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[引用]上司が決めたことなら、あなたは進んでその通りにUIをデザインすることを(心からそう思って)伝えましょう。そうすることで、権力争いになる可能性が取り除かれ、あなたが忠実な部下であることを上司も確認することができます。つまり、あなたは本心で、熱意を持って、どんな決断にも同意できる必要があるのです。
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4. 上司に周囲の意見を聞きたいかを尋ねる

 1~3までをやって、やっと上司に周囲の意見を聞きたいかを尋ねることができます。しかし、この段階においても上司が周囲の意見を聞き入れるとは限りません。ここでは上司に周りの意見を押し付けないことがとても重要です。

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[引用]選択肢がない限り、そこには責任は生まれません。フィードバックを聞くという選択をすることで、上司はその意見にある程度コミットすることになります。可能な限り相手に他の意見を聞きたいか、どんなかたちで聞きたいかを選択する自由を与えましょう。ここまでくれば、相手はあなたの意見を聞く耳が持つ準備ができているでしょう。もし「ノー」と言われたら、それはそれです。反論しないように。また次の機会にチャレンジしましょう。
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逆効果な行動に注意

 相手に自分の意見を聞き入れてほしいあまりについついやってしまうことがあります。その多くは逆効果です。相手をねじ伏せようとする行動はいくら自分が正しくても、ものごとが良い方向に進みません。Marquetは中でも次の3つの行動を避けるようにと注意します。

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[引用]
1. あなたのこれまでの経験を引き合いに出す(上司を信頼していないことを伝えてしまうことになる)
2. あなたの知識量を引き合いに出す(同上)
3. あなたが信頼に値することを主張する(主張するのではなく、それを実際に行動で見せる必要がある)
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それでも改善されない場合は潮時かも!?

 あらゆる手を尽くし、結果が出ない場合は上司に見切りつけるのもひとつの選択肢です。転職の決断はなかなか一筋縄ではいきませんが、Marquetは決断をする際に役立つ興味深いアプローチを紹介しています。彼は「自分の息子や娘が同じ立場に置かれていたら、親としてどう思うか」を訊ねると言います。「自分がしている同じ経験を、娘や息子にもさせたいだろうか」ということです。そこで出てきた答えが正解なのです。最善を尽くすことも重要ですが、自分の健康に害が及んでからでは遅すぎます。

 抑圧的な上司を持ってしまった時は、なるべく同じレベルで張り合わないことが重要です。その変わり、より高い視点を持ち、どうしたらこちらが思うように相手が動いてくれるかを考え、冷静になって対処しましょう。目的は、相手を言い負かすことではありません。相手が進んで聞く耳を持ってくれる状況を作ることなのです。

99U「Manage Up: How to Deal with a Micromanager」(David Marquet著)をもとに翻訳、再構成

翻訳・構成/相磯展子