批判に押しつぶされないためには

 批判に押しつぶされないためには、まず打たれ強さが必要ですが、それ以外にもうひとつ覚えておくべきことがあります。それは、否定的なフィードバックは肯定的なものに比べなかなか払拭するのが難しいという事実です。

*****************************************
[引用]Roy F. Baumeister(ロイ・F. バウマイスター)教授は、論文「Bad is Stronger Than Good」(*)の中で感情の原理を追究している。彼は、一般的にネガティブな感情、印象、フィードバックは「肯定的なものよりも、すばやく形成され、否定することが難しい」ことを発見した。言い換えれば、厳しい批判の方が私たちの中に長く残り、一般的に称賛に比べて忘れることがとても困難なのである。重要なのは、自然とこうしたアンバランスが生じることを認識し、建設的なフィードバックだけ自分の中に留めておくようにすることである。
*****************************************

 否定的な感情や批判を忘れようと苦戦した経験は誰にでもあるでしょう。私たちがそれをなかなかできないのは、こうした否定的な感情、批判を細かく検証する傾向にあるからです。それは、同じ「失敗」を繰り返えさないようにしようとする私たちの生存本能にもつながっているのかもしれません。

*****************************************
[引用]スタンフォード大学教授で『The Man Who Lies to His Laptop』(*)の著者でもあるClifford Nass(クリフォード・ナス)は、ネガティブな感情が残るのは、私たちがそれについてくよくよ考えるからだとしている。「ネガティブな感情は一般的に思考量を伴い、ポジティブなものより情報がより細かく処理される。その結果、私たちは幸せをもたらす出来事よりも、不快な出来事を反芻する-と共により強い言葉を用いてそれについて語るー傾向にある。」
*****************************************

 批判から生じる否定的な感情から抜け出せないのも問題です。それは実際の実力や成果とは関係なく、自分の実力を疑い続けることになるからです。

*****************************************
[引用]ネガティブな考えは、ベテランの職人でも「自分は本当は評価に見合わない。そのうち実力がないことがばれてしまう」と思わせてしまう「インポスターシンドローム」を引き起こす。
*****************************************

*****************************************

 批判との付き合い方は難しいものです。まずは批判を恐れないこと。そして、自分の成長につながる「本物」の評価を選び取る判断力をつけることがとても重要です。

 一部の人はあなたが何をしようと必ず批判をしますし、一部の人はあなたが何をしようとそれを評価します。守りに入りすぎず、かと言って無防備になりすぎない「中庸」の姿勢が必要なのかもしれません。

99U「Born Hatin': Why Some People Dislike Everything」(Gregory Ciotti著)をもとに翻訳、再構成

翻訳・構成/相磯展子