チェコ随一の大聖堂で絢爛の美に酔う

 昔も今も街の象徴であり続けるプラハ城において、存在感をひときわ感じさせるのが、聖ヴィート大聖堂。929年にボヘミア公聖ヴァーツラフが建てた簡素な聖堂が建っていた場所に、1344年、カルロ1世の命で大聖堂の建設が始まった。建設は、宗教改革による混乱などでたびたび中断し、完成したのは1929年。

聖ヴィート大聖堂の西側正面は、建物竣工後の1956年に完成した。バラ窓には聖書の創世記の場面が描かれている。

 完成まで実に600年も要した聖ヴィート大聖堂は、高さ82mの2本の尖塔と99mの鐘楼を備え、プラハ城内に堂々とそびえ立つ。チェコ随一の美しさといわれる荘厳なゴシック建築の外観はもとより、ゴシック、ルネサンス、バロックの各様式が混在した内部も圧巻。特に繊細なステンドグラスは、ため息が出るほどの美しさである。

身廊の北側を飾るステンドグラスは、聖ヴィート大聖堂の中で特に人気の高い作品。1931年にチェコ出身の画家、A・ムハが手がけた。

 なお、この聖堂内にはカルロ1世が1346年の戴冠式用に作らせた「聖ヴァーツラフの王冠」なるお宝が保管されている。サファイアやルビーなど100近い宝石と、20の天然真珠で装飾が施されたこの王冠は、歴代チェコ王の戴冠式で使用されてきたが、真のボヘミア王たる資格がない者がかぶると1年以内に命を落とすという言い伝えがあるとか。残念ながら実物を見ることはかなわないが、旧王宮内にはレプリカが展示されている。その輝き、ぜひ目に焼き付けたい。

 プラハ城下にもさまざまな歴史的建造物が建ち並ぶが、ぜひ足を運びたいのが1140年建造のストラホフ修道院。13万冊という蔵書の中には、500年以上前の希少な書籍も数多い。17世紀に完成した「神学の間」、18世紀の「哲学の間」と呼ばれる2つの図書館は、図書館そのものが超一級の芸術作品でもある。

バロック様式の図書館の傑作と呼ばれる神学の間。天井はフレスコ画で満たされ、床には18世紀半ばの天球儀コレクションが並ぶ。

 そして、プラハ城の城下町と対岸の旧市街を結ぶのが、全長516mのカレル橋。この橋もまた、カレル1世の命で建設されたもの。ヴァルタヴァ川に架かる最古の橋といわれ、欄干は、ローマのサン・タンジェロ橋を模して30体の聖人像で飾られている。かつて、裁判や馬上試合などの舞台だったこの橋も、現在は観光客や露店、大道芸人であふれる。橋を渡りきれば、そこは旧市街だ。

プラハ城下と旧市街を結ぶカレル橋は、夜になっても人の往来が絶えることがない。