専任組織発足半年でトップがダイバーシティ宣言

――専任組織の立ち上げが14年の10月。半年後の15年3月には、キックオフミーティングを開催し、岩田社長は参加した社員の前でダイバーシティ宣言を行いました。「Diversity for Vitality(ダイバーシティ・フォー・バイタリティ)」のスローガンのもと推進活動を積極的に進めていますが、なぜこのタイミングだったのでしょうか。

岩田:当社の個人向け通販サイト「LOHACO(ロハコ)」の事業が立ち上がったことも影響しています。ロハコは忙しいワーキングマザーをターゲットに、買い物に行かなくても欲しい日用品や食材をネットで簡単に注文でき、スピーディに自宅に届くサービスです。

 オフィス向けのサービスの発注担当者の方に女性が多いことから、働く女性を支援したいという思いがあるのですが、そもそも立ち上げ前にワーキングママの実態調査として、社内の育児と仕事を両立する女性社員を対象に、1日の時間の使い方についてアンケートを取りました。すると、私の想像以上にワーキングママの1日は過酷であるということがわかったのです。早朝から育児と家事に追われ、帰宅後もそれは続き、自分の自由に使える時間は1時間程度しかない。そんな状況のなか、彼女たちは頑張って働いてくれているんだと実感。そういう気づきを得たことも、ダイバーシティ推進に踏みきるきっかけとなりました。

社内でキックオフミーティングを開催し、ダイバーシティ宣言を
社内でキックオフミーティングを開催し、ダイバーシティ宣言を

――BtoBの事業領域を拡大するだけなく、新たにBtoC事業も創出した。この転換期とダイバーシティ元年がぶつかったということですね。

岩田:そういうことになりますね。ワーキングママが増えるということは共働きカップルが増えるということ。そうするといろいろなことが起きますよね。例えば、今朝、当社のCOOから『2歳の子どもが熱を出して保育園につれていけないから会議に遅れる』とメールが来ました。

――COOは男性ですか。それは日本ではあまり聞かないトピックですね。

岩田:そうです。彼も共働きです。共働きであればいろんなことが起こる。困りごともある。危機的なこともある。でも会社は共同体として助け合っていくべきだと思います。そして会社の事業としても推し進めるということです。

 ちなみに、8月28日には働く女性のための時短をテーマにした日用品ショッピングアプリ『ロハコアプリ』をリリースするなど、ロハコを通じて全国の働く女性を支援するというミッションをロハコサービスに徹底的に活かしていきます。