2015年8月28日に企業に女性登用を促す新たな法律「女性活躍推進法」が成立した。

 これにより、従業員301人以上の企業は、2016年4月1日までに、女性登用について数値目標を含む行動計画の作成と公表が義務付けられた。300人以下は努力義務が課せられる。

 301人以上の企業は約1万5000社あるといわれる。つまり、多くの企業にとって行動計画作成は「自分ごと」となるのだが、従業員が301人以上なのに「ウチには関係ない」と思っていたり、何をしたらいいか分からずに困っていたりする企業が多いのではないか。

 ある担当者は、「ストレスチェックもマイナンバーもやらなければいけないのに、その上女性活躍の行動計画まで…」とため息をつく。本来であれば14年の秋に成立するはずだった新法が、解散、総選挙でここまでずれこんだ。14年秋に成立していれば時間はあったのに、1年ずれこんだおかげで、約7カ月足らずで行動計画を作成・公表まで完了しなければいけなくなった。今回はこの新法のポイントをまとめたい。

(C)PIXTA
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女性活躍を「見える化」

 この法律の要諦は、各企業の「女性活躍の見える化」である。

 行動計画策定のためには自社の状況把握と課題の分析が重要となる。状況を把握するための必須項目は、(1)女性採用比率、(2)勤続年数の男女差、(3)労働時間の状況、(4)女性管理職比率だ。「各社で共通の課題となりうるものを上げている。女性を採用しているか、男性と比べ女性だけが辞めていないか、長時間労働になってないか、女性が管理職として登用されているか。必須4項目で状況を把握し自社の課題を分析して深掘りしたうえで、課題に即した行動計画を策定していただきたい」とは厚生労働省雇用均等政策課長の小林洋子氏。