女性取締役のワークショップに延べ1100人の女性が参加

――女性社員自身の意識改革が重要だということですね。それはどのような内容なのでしょうか。

石井:女性の階層別に実施しており、上から一定の階層までは全員参加です。1回の参加者は70人から90人程度。1日研修ですが、岡島さんには、講話とグループワークで2~3時間を担当してもらっています。上位階層の女性社員から順にワークショップを実施していますが、参加したベテラン社員からは「もっと若いときに話を聞きたかった」という声がとても多かったので、今後は若手社員にも本格的に拡大していく予定です。またこのワークショップを始めたこともあり、13年度の時点で41%だった女性の上位職志向が、14年度には64%に上昇するという効果も現れました。

同社社外取締役であるプロノバ社長の岡島悦子氏のワークショップには、延べ1100人の女性が参加
同社社外取締役であるプロノバ社長の岡島悦子氏のワークショップには、延べ1100人の女性が参加

――女性管理職比率を目標に掲げる企業は増えましたが、女性の昇進意欲が高くなく昇進を打診しても女性自身から断られて困った…という話は、よく聞かれます。しかし、丸井グループでは、1年で23ポイントも女性の上位職志向がアップしたのは大きな成果ですね。つまり効果的な取り組みをすれば、女性の昇進意欲は高まるという証ですね。

 丸井グループでは、女性管理職比率を21年3月期までに17%にするという目標数値のほかに、育児フルタイム復帰率90%という数値も掲げています。これは他社ではなかなか聞かない数値ですが。

石井:育児フルタイム復帰率とは、ある一定の年に育休から短時間勤務で復職した社員数を分母とし、フルタイムに戻った女性社員が何%かを追う数値です。小売業において、育児と仕事の両立でネックとなるのは、店舗が遅い時間まで営業しており、早番、遅番のシフト勤務があること。当社ではお子さんが小学校3年生まで時短勤務を利用できる制度がありますが、小学校4年生になったらすぐに遅番を含めたフルタイムに移行できるかといえばハードルは高く、退職してしまう社員も多いのが事実です。そこで、新しい制度を導入するなどして、「小4の壁」対策を始めました。