高齢化とともにビジネスの拡大が見込まれる介護サービス業界において、優秀な人材確保は大きな課題である。採用しても早期離職率も高い業界、まずは就業継続が大きな課題となる。その中で、首都圏に29カ所の事業所を展開するケアサポート社長の堀越太志氏は、「女性管理職比率50%以上」を目標に掲げる。
女性所長の施設は売上よく離職率も低い
――ケアサポートでは2018年3月までに「女性の管理職比率50%以上達成」という数値目標を掲げていますね。採用しても早期離職率も高く、なかなか定着が難しい業界の中で高い目標だと思いますが、50%の理由を教えてください。
堀越太志社長(以下、堀越):そもそも介護ビジネスは、女性社員の比率が高く、第一線で活躍するスタッフも女性の方が圧倒的に多いのです。ですから、せめて半数くらいは女性管理職がいるべきだろうと考え、13年前の創業時からこの数値を掲げてきました。現在は39%と、まだ50%には至っていませんが、引き続き、女性たちが生き生きと活躍できる職場作りを進めていくつもりです。
――そのための取り組みとして、どのような施策を実施してきましたか。
堀越:法令に基づいた制度にいち早く取り組んできましたが、特に女性だけを対象にプログラムなどを組むということではなく、実力のある人は男女問わずにチャンスを与え、ひとつのデイサービスやショートステイをまとめるリーダー職などの幹部候補に登用してきました。現在、一都三県で29カ所の事業所があり、女性所長も5人おります。女性が管理者となっている施設は、総じて売上が良いのが特徴です。チームワークの作り方が上手で、離職率も低めですね。
――女性が働き続けるには、“就業継続”という横の課題と、“昇進”という縦の課題があります。就業継続という点では、いまだ出産では6割の女性が会社を辞めています。
堀越:おっしゃる通り、当社も離職率をどう下げるか、模索している最中です。結婚で辞める女性はほとんどいませんが、出産で辞める方は少なくない。さらに、育休後に職場復帰する場合も、正職員で戻ってくるケースは少なく、ほとんどがパート勤務を望むか、あるいはそのままリタイヤしてしまう方もいます。
――何が原因になっていると思われますか?
堀越:介護業界は、どうしてもマンパワーに頼る部分が大きいため、時短で復帰する場合、その分を周りが負担することになります。そうなると、本人としては“申し訳ない”という気持ちが強いようです。もちろん現場では、皆が励まし合いながら頑張っているものの、実際に、早番・夜勤ができない人が増えるとなると、勤務シフトが厳しくなり、他のスタッフに負荷がかかるという現状がある。そうしたギャップをどう埋めていくか。そこは、我々がしっかり考えていかなくてはいけない課題です。