社内の意識改革や国際的な人材交流を加速

――女性がリーダーとして活躍するためには、男性の意識改革も必要ですね。保守的な考え方の男性マネジャーのことを「粘土層」と言いますが、そういう人たちの意識を変えるには、どういう方法が効果的でしょうか。

子ども2人を連れてスウェーデンで勤務している野上氏
子ども2人を連れてスウェーデンで勤務している野上氏

ベルチ:出発点としては、成果主義に基づいた公平な評価を浸透させることだと思います。それを徹底することが、中間管理職の誤った判断を回避する一番の方法だと思います。そして、マネジャーは会社組織に対してだけではなく、社会での責任も負っていることを自覚してもらうようにすることです。多様性を尊重することは社会責務ですから。女性を責任ある役職に抜擢する大胆な取り組みも必要ですね。女性でも成功できるというケースを目の当たりにすれば、保守的な考え方の男性たちも理解すると思います。それから、年齢や勤務年数にとらわれないことも重要です。ダイバーシティを促進するには、若手をどんどん登用してフレッシュな考え方を導入するのです。現在、最年少の営業部長は37歳、地域を統括する営業課長の最年少者は32歳です。若くて優秀な人材を早くリーダーとして起用することは、ビジネスにとってもメリットが大きいと思います。

――性別、年齢に関わらず、力のある多様な人材の活躍が会社の成長のカギになるわけですね。国際的な人材交流も盛んですね。

ベルチ:国籍、文化のダイバーシティ促進が狙いです。例えば、日本法人でマーケティング本部長をしていた野上麻理は今、スウェーデンでグローバルのブランドマーケティングを担当しています。二人のお子さんを連れての海外勤務は、とても勇気のいるチャレンジだったと思いますが、やはり異なる文化を学び、経験を積むことによって、より大きな活躍が可能だと思います。派遣、受け入れを含めて年間で15人くらい、若い社員、短期のプロジェクトも含めてすべての層で交流を図っています。将来のリーダー候補ですから、一定の成果を出していてポテンシャルが高い人材を選抜しています。会社に貢献しようという意欲を持ち、自ら学び、成長して結果を出せる人が、ビジネスで成功できるのだと思います。

インタビューアー/麓幸子=日経BPヒット総合研究所長・執行役員、文・構成/田北みずほ
日経ビジネスオンライン2015年10月30日の掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。