女性人材育成には「3つのき」が必要

――山内社長は、女性社員の育成には「期待して、機会を与えて、鍛える“3つのき”」が大切だと、常々指摘しています。その思いの原点はどこにあるのでしょうか。

山内:私は入社以来ほぼ23年間、数理部門という男性が多い部署にいました。99年に初めて契約サービス部門に異動したのですが、そこは社員約1200人中、女性が8割を占める大部隊でした。役員として統括を任されましたので、女性社員にどうやったら活躍してもらえるか、12年間いろいろと試みてきたのです。

 その経験から、女性の育成に必要だと実感したのが「3つのき」です。女性も期待されれば「期待に応えよう」と力を出しますし、機会を与えれば意外とどんなことでもできてしまうものです。当時、私が鍛えた女性たちは、本人は鍛えられたと思っているかわかりませんが(笑)、部長や役員に昇進して現在も活躍しています。

――山内社長は全国の支社を回り、女性社員と直接、対話をする「タウンホールミーティング」を重ねていますが、全国の社員とお会いして気づいたことはありますか。

山内:タウンホールミーティング自体は2014年の後半から始めて、今までに約650人の社員が参加しました。皆さん、目の前の仕事を一生懸命やっていますし、会社に貢献したいと思ってくれているんですね。ただ、なかなか昇進昇格することには目線や意識がいっていない。私からは、「皆さん優秀なんだから、もっと上に立ってリーダーシップを発揮してほしい。そういう形で貢献してくれることを会社は望んでいますよ」というメッセージを伝えています。

タウンホールミーティングでは、直接女性にメッセージを伝える
タウンホールミーティングでは、直接女性にメッセージを伝える

――多くの企業が、転居・転勤と女性活躍をどうするか悩んでいますが、アフラックはどういう方針を取っていますか。

山内:それは悩みの一つですね。当社も、転勤ありの「全国型基幹職」と転勤なしの「エリア基幹職」があり、女性の8割はエリア基幹職です。それが昇進等で一つのハードルになることは正直言ってあります。ただ、当社は転勤なしの社員でも「一時転勤制度」が利用できるんですね。2年間限定で新たなエリアでキャリアを積める制度で、昨年の募集では予想を超える20人の女性が手を挙げました。幅広くキャリアを形成していくために、自ら一歩を踏み出すなど、女性の意識が変わり始めているのかもしれません。