相席スタート、パーパーは「女性主導型」コンビ
また、男女コンビの中には、一目見ただけではっきりと分かるようなキャラクターを持っていないコンビもいます。例えば、相席スタートやパーパーです。相席スタートの特徴は、山崎ケイさんが自分自身の恋愛に関する哲学や経験に基づいてネタを作っていることです。相方の山添寛さんは、年上の山崎さんに振り回され、言いくるめられる立場に回ることがほとんどです。このコンビは完全な「女性主導型」といえるでしょう。
また、パーパーのコントでは、ほしのディスコさんがアンガールズの田中卓志さんを思わせる気持ち悪さ全開の男性を演じて、あいなぷぅさんが演じる女性キャラに翻弄される姿が描かれています。このコンビの場合には、女性が主導権を握っているというよりも、ほしのさんがこれでもかというくらい気味の悪い人物になりきることで、相対的に女性側の立場が上に見えてくるのです。これも変則的な「女性主導型」に当たると思います。
キャラの強い芸人がいるコンビは、そのキャラを軸にネタを組み立てていき、そうでない場合には、どちらかと言うと女性が上になるような関係性をつくっていくというのが、男女コンビの定番パターンになっているようです。
お笑いコンビはビジネスパートナーという関係にあります。男女コンビのこのようなあり方は、男女が交じって仕事をする場合にも応用できるのではないかと思います。「キャラ」のように明らかな強みがある場合には、チーム全体としてそれを積極的に活用するべきですし、それがない場合には、女性が主導権を握って場を仕切っていくとスムーズに進むのです。お笑いコンビは「二人」という最小単位のビジネスチームだからこそ、そこに人間関係の基本的なパターンが現れているのだと思います。
文/ラリー遠田 写真/ワタナベエンターテインメント、吉本興業
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