深夜番組からゴールデン昇格の成功例は、マツコ

 しかし、最近では、そういう失敗に陥らない番組も徐々に増えてきているような気がします。その典型は2014年にゴールデンに昇格した「マツコの知らない世界」です。マツコ・デラックスさんが、特定の分野に異常に詳しい専門家のプレゼンを聞くという番組です。マツコさんと一般人が話すだけの地味な内容なのですが、深夜時代には大きな話題になり、高視聴率を記録しました。

 深夜番組としてはいったん終了した後、2014年に満を持してゴールデンで再開されたのです。この番組に関しても、始まる前には「深夜時代の良さが消えるのではないか」という懸念がありましたが、実際にはそうなりませんでした。

 ゴールデンに入っても、形式や内容を大きく変更することなく、元のフォーマットを貫いて高視聴率を維持しています。

 このような番組が出てきている背景には「深夜枠のゴールデン化」という現象があります。人々のライフサイクルが夜型になっていくのに伴って、テレビ局でも深夜番組に力を入れる動きが出てきています。特に、23時台は幅広い層の人が見る「第二のゴールデンタイム」のようになっているのです。「アメトーーク!」のように、この枠でゴールデンタイムに負けないくらいの視聴率を記録する人気番組も増えています。

 マツコさんは著書の中で、23時台こそが本当のゴールデンタイムであり、ここに力を入れることでテレビに若者を呼び戻すことができる、という持論を唱えていました。ゴールデンと深夜の違いが少なくなっているからこそ、深夜番組がそのままゴールデンに上がって成功する事例も出ているのでしょう。「深夜番組がゴールデンに上がるとつまらなくなる」というのは一概には言えなくなってきているのです。

働く人にとって、23時台もゴールデンタイムです。テレビ番組を楽しみにして帰宅するのも幸せですよね (C)PIXTA
働く人にとって、23時台もゴールデンタイムです。テレビ番組を楽しみにして帰宅するのも幸せですよね (C)PIXTA

文/ラリー遠田 写真/PIXTA

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