実名を挙げて「ブス」と罵ることも

 彼らは、テレビでもラジオでも、容赦なく過激な発言を連発しています。時には身近なアイドルの実名を挙げて「ブス」と罵ったりすることもあります。特に「おぎやはぎのメガネびいき」(TBSラジオ)というラジオ番組では、その会話がオンエアされていることも意識していないかのように、二人の自然なトークがそのまま垂れ流されています。過激な発言の一部が切り取られて、ネットニュースとして世に出ることもたびたびあります。しかし、他のタレントなら炎上してもおかしくないような案件でも、彼らの場合は見逃されることがほとんどです。

 批判が殺到して彼らが番組内で謝罪した、などというのは聞いたことがない。それどころか、そもそも炎上になるほどの批判がどんどん出てくるという現象自体がほとんど見受けられないのです。この「炎上全盛時代」に、おぎやはぎだけがそれを免れているように見えます。一体なぜでしょうか。

テレビ・ライブ・取材でも、全く変わらないおぎやはぎ

 私は、おぎやはぎの二人に何度かインタビュー取材をしたことがあります。また、テレビに出始めるよりも前の時期にライブに出ている彼らの姿を目にしたこともあります。その経験から言わせてもらうなら、彼らほど裏表がなく、何も変わらないタイプのタレントは珍しいのです。テレビでも、ライブでも、取材でも、おぎやはぎを見たときの印象は全く変わりません。取材に応じるときにもあの調子で、脱力した様子を見せています。売れてからそういうキャラクターを作ったというわけではなく、もともと彼ら自身がそういう人間だった、としか言いようがないのです。

 例えば、世の中には「毒舌タレント」と呼ばれる人がいます。有吉弘行さん、マツコ・デラックスさんなどがその代表格です。彼らは、一見すると気楽に好き勝手なことを言っているように見えますが、実はかなりのバランス感覚が要求される際どいことをやっています。テレビで言っていいことの範囲をわきまえた上で、その枠内でギリギリのコースを突くような鋭い球を投げ込まなくてはいけない。「毒舌」を芸にするというのはそれだけ難しいことなのです。

 一方、おぎやはぎの毒舌はこれと似ているようで全く違います。