村本さんってどんな人?

 実は、彼が芸人としてここまで生き残ってきた秘密がそこに隠されているのです。

 村本さんはどちらかというと遅咲きの芸人でした。養成所の同期にはキングコングや南海キャンディーズの山里亮太さんなどがいます。彼らが早い段階でその才能を見いだされ、テレビなどの華やかな舞台で活躍していくのを尻目に、村本さんは下積み生活を続けていました。

 村本さんの相方に対する要求が厳しすぎたために、コンビを組んでは解散するというのを繰り返し、10組目の相方に選んだのが中川パラダイスさんでした。

 中川さんとウーマンラッシュアワーを組んでから、運命の歯車が回り始めます。村本さんが早口で一方的にまくし立てるようにしゃべり続ける漫才スタイルが評価され、数々の賞を受賞。2013年には『THE MANZAI』で優勝しました。

自分に正直に生きればストレスがない

 村本さんはテレビに出始めるようになると、自らを「ゲスキャラ」と位置づけて、ファンに手を出しているということを平気で公言していきました。

 たとえSNS上で悪口や批判を受けても、そのひとつひとつに返事をしていき、時にはさらなる罵詈雑言を浴びせることもあります。目には目を、という調子で売られた喧嘩を買い続けているうちに、いつのまにか村本さんが炎上騒動でトラブルに陥ることはほとんどなくなっていました。

 村本さんのスタンスは今もほとんど変わっていないのですが、ここまで一貫していると誰にも何とも思われない。むしろ、「またやってるよ」というぐらいの調子で、世間は村本さんのキャラクターをいつのまにか受け入れています。

 彼がそのような芸風に至ったのは、自分に正直に生きることがストレスがなくて楽だということに気付いたからです。

 自分を良く見せようとするあまり、ウソをついてとりつくろっていると、それがばれてしまったときに大きな反発を受けることになります。しかし、自分がゲスい人間だということを初めから言っておけば、それ以上叩かれる心配はありません。それどころか、リスクを恐れずに本音を堂々と口にする姿がかえって好感を持たれたりもするのです。

 さらに言えば、村本さんが意外と好かれているのは、彼が本来は気の小さい内気な人間だからでしょう。