「めちゃイケ」「みなさんのおかげでした」が終了を発表

 今年はテレビバラエティーの世界でも大きな地殻変動が起こりました。20年以上続く人気番組だった「めちゃ×2イケてるッ!」と「とんねるずのみなさんのおかげでした」が終了することが発表されたのです。この二つの番組はいずれも、「トーク」「ロケ」「コント」などの明確な枠組みを持たず、芸人たちが毎週さまざまな新しい企画に挑んでいく本格志向のお笑い番組でした。

 少し前まではこの手の番組を求めている視聴者も多かったのですが、最近ではメディアの多様化と少子高齢化に伴って、ゴールデンタイムの視聴者層も変わっていて、本格志向のお笑い番組が支持されにくくなっています。

地上波以外のメディアが盛り上がりを見せる

 一方、今年は地上波テレビ以外の映像コンテンツが何かと話題になった年でもありました。インターネットテレビのAbemaTVでは、元SMAPの3人が出演した「72時間ホンネテレビ」が放送され、SNSなどで大反響を巻き起こしました。また、Amazonプライムで配信された松本人志さんプロデュースの「ドキュメンタル」など、地上波では不可能な企画を別の動画メディアで実現させるようなケースも目立っています。

 地上波のテレビは制約が多い上に、予算も頭打ちになっています。純粋に面白いものを作りたいと思っている芸人や制作者にとっては、地上波以外でもある程度の制作費で縛りの少ない環境で番組作りができればそのほうがいいのです。AbemaTV、Amazonプライム、Netflixなどでそのような状況が整いつつあり、動画メディア業界は激動の時代を迎えています。

 私たち視聴者は、より面白いものが見たいのであれば、地上波テレビから流れてくる映像を一方的に受け取るのではなく、自分たちのほうから面白いものを積極的に探していかなくてはいけません。

 これを面倒だと感じる人もいるかもしれませんが、選択の幅が広がっているのは悪いことではありません。お笑いやテレビの作り手にとっても、受け手にとっても、新しい可能性が広がっている時代だと言えるでしょう。

地上波では見られない、芸人の意外な一面が知れることも、動画メディアの魅力です (C) PIXTA
地上波では見られない、芸人の意外な一面が知れることも、動画メディアの魅力です (C) PIXTA

文/ラリー遠田 写真/PIXTA

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