色々な人がいた。バーチカルタイプがいいという人もいたし、バーチカルだと時間をギチギチに管理されているみたいでいやだという人もいた。
イラストを描いたり様々なカラーペンでスケジュールを色分けしている人もいた。誰一人同じ手帳はなく、みんな恐ろしいほどにこだわりと主義主張がある。なるほど手帳売り場にたくさんの手帳が並ぶわけだ。
印象に残ったのは、経理の熊谷里穂子さんの話。
「この手帳、いいと思って買ったんですけど、使ってみたら、文字が裏移りしたりラインの幅が微妙に広すぎたりと使いにくかったんですね。それでももったいないと思って使っていました。そのせいかもしれないけれど、一年、あんまりいいことがなかったんです。モヤモヤっとすることも多くて、不思議なくらいツイてなかった。もう早く今年が終ってほしいです」
この気持ちはよくわかる。私にも経験がある。
ある新年に買った手帳がどうにも合わなかった。私はすぐに買い替えた。が、その年はハズレ年だったのか、また合わない。結局3冊買った。4月あたりまでモヤモヤとした気持ちが続いた。
手帳は、一年使うもの。イヤだと感じたらすぐに買い替えた方がいい。毎朝、一瞬でも「イヤだな」と思ってひらくようでは、運もツキも逃げてしまう。
多少の出費は「勉強料」と割り切って新しいものに替えてしまおう。その方が、一年全体を考えれば絶対にお得だ。
ちなみに今年私が使ったのは、イギリス王室御用達の古い文具店が作っている手帳だった。
ブルーの紙に万年筆インクが裏に染みない。革表紙の色は、今年のラッキーカラーの黄色を選んだ。手帳の半分がメモ用紙になっているのも使いやすい。パラパラとめくるとこれ一冊で、今年一年がきれいに封じ込められている。2015年「ひきたよしあき」がぼろぼろになった黄表紙に収められている。
手帳は、毎日書き込む自分史だ。一年の運を上げるためにも、記憶を濃く残すためにも、来年の自分がワクワクしそうな一冊を選びたい。
写真=kou/PIXTA