“恋バナ収集ユニット”桃山商事の清田代表と森田専務が、恋愛の悩みに効く1冊を紹介していく新感覚のブックガイド『桃山商事の「恋愛ビブリオセラピー」』!

今回のお悩み
・数回デートした男性がいるが、向こうからはアクションを起こしてこない。彼の気持ちがわからない!
・重いと思われるのが怖くてわがままが言えない
・浮気をした彼のことがどうしても許せないのに、別れたくない
・トキメキがない男子と付き合うのってナシですか?
そんな悩みに効く1冊

この本がなぜ恋愛と関係あるのか

■異色過ぎる評伝―アナーキズムと恋愛

 みなさんこんにちは。桃山商事の森田です。

 今回ご紹介するのは、『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』という強烈なタイトルの異色評伝です。

 伊藤野枝は大正時代に活躍した女性アナーキストで、本書の著者である栗原康さんもまたアナーキストとして活動しています。つまりこれはアナーキストによるアナーキストの評伝です。

 しかしアナーキストと聞いてピンとくる人は多くないと思いますので、ここではまず彼らが推進する思想=アナーキズムについてごく簡単に説明し、それから、大正のアナーキストの話がなぜ現代の恋愛に“めっちゃ役に立つ”のかを考えていきたいと思います。

 なお、本書は評伝と聞いてふつう連想するような、中立的でカタい言葉で書かれた本とは趣が異なります。著者は野枝への心酔を隠そうともせず、彼女が他人に意地悪されたら「ちくしょう」と憤り、優しくされたら「ありがとう」とお礼を言うのです。どこまでが野枝でどこからが著者の思いなのか判然としない、溶け合うような独特の文体は本書の魅力のひとつです。