セックスレスに有効なアイデアとは?

■セックスレスという「滞り」

 筆者の森田は現在35歳のアラサー世代なのですが、ここ数年、友人や知人から「セックスレス」の悩みを聞くことが多くなってきました。また、我々桃山商事が行っている失恋ホスト活動でも、相談者の女性からパートナーとのセックスレスについて相談されることがあります。

 中でも多いのが、「友達みたいな関係」や「家族という関係」になったため、セックスする気が起きないという状態です。このとき双方が「しなくてよい」と考えているなら問題はないのでしょうが、どちらか一方だけでも「したい」と思っている場合、そうはいきません。“したい側”にとっては、その状況は本当に苦しいものだと思います。

 ただ、“したい側”が「セックスしたい」と言っても、その気持ちは相手に「伝わらない」ことが多いのではないでしょうか。厳しい言い方ですが、「セックス」という言葉だけでは相手の心が動かなくなっているほど、状況が滞っているからです。

 このような「滞り」を打開するためには、「相手が興味を持ち、気持ちよく聞いてくれて、心が動く」アイデアが必要になります。そのためのメソッドを紹介していきたいと思います。

■伝わるメソッド「プラス新しい」

 まずは「プラス新しい」というメソッドです。これは、アイデアや打開策を考える際に、「新しい」という言葉を頭につけるだけで、「考えることが100倍簡単になる」メソッドです。例えば、新しいビール、新しいクルマ、新しい便利……などなど、「新しい」をつけるだけで、新しい価値を考えるきっかけが生まれます。ここでは、セックスに「新しい」をつけてみます。

 新しいセックス。

 どうでしょうか。マンネリ感漂う二人の間に、変化が生まれる予感がしないでしょうか。このように「新しいセックス」を考えはじめることが、出発点になります。次は、「新しいセックス」のアイデアを出すメソッドです。

■伝わるメソッド「ひらめきスロット」

 「ひらめきスロット」は、「いいアイデアがじゃんじゃん生み出せる、アイデアの公式」です。具体的には、次のような公式になります。

[新しい+テーマ]×[ターゲットが好きそうな言葉]=アイデア

 本書に出てきた例を挙げると、テーマを[新しい病院]、ターゲットを[子ども]に設定した場合、両者に子どもが[好きそうな言葉]をかけ合わせます。すると「新しい病院×お菓子=お菓子の病院」、「新しい病院×遊べる=遊べる病院」、「新しい病院×ゲームが好き=ゲームセンター病院」……と次々と発想できます。

 「新しいセックス」を考える場合、ターゲットは「自分たち二人」になるので、公式に「二人の好きなもの」を代入します。映画好きなカップルならば、[新しいセックス×映画=映画セックス]となります。「映画セックス」の内容は色々考えられますが、例えば二人のお気に入りの映画のDVDを観ながらするとか、映画の登場人物になりきってする、といったことはすぐに思いつきます。好きな映画のロケ地を訪れて…みたいなのもありかもしれません。ほかにも、[新しいセックス×おしゃべり=おしゃべりセックス][新しいセックス×スイーツ=スイーツ食べながらセックス][新しいセックス×大相撲=決まり手セックス]などなど、何でも組み合わせられます。

■「新しいセックス」実践編

 ちなみに、おしゃべり好きな桃山商事の清田代表は、恋人と「おしゃべりセックス」を実践しているそうです。代表は、セックスの最初から最後まで、他愛ないことをずーっとしゃべり続けるというのですが、そっちのほうが「お互いリラックスできるし、楽しい」とのこと。

 また、筆者の知人の女性は、夫婦そろって大河ドラマ好きで、「武将セックス」をしていると話していました。どういうことかというと、彼女からセックスを持ちかけるときには、「戦国武将になる」のだそうです。例えば……

彼女「敵は本能寺にあり!」
彼 「明智殿! まさか……」
彼女「全軍突撃~」
彼 「エイエイオー!」

 といった具合に、武将になりきってやりとりをして、笑いながらセックスになだれ込むといいます。彼女や清田代表は、図らずも「ひらめきスロット」を実践して、常識には囚われない「新しいセックス」を楽しんでいるように見えます。

 ここで注目したいのは、「新しいセックス」が、必ずしも「エロさ」や「ムード」を上げる方向に進む必要はないということです。セックスはムーディーな雰囲気の中でしないといけない、なんていう決まりはありません。セックスレスという「滞り」を打ち破るためには、柔軟で新しい発想が有効になるはずです。

 ただ、このアイデアは、恋人とセックスについての話し合いができて初めて提案できるものかもしれません。「セックスレス問題」で難しいのは、そもそも恋人とセックスについての話し合いができない(拒否される)場合があることです。そこで、後編では、「セックスについての話し合い」の切り出し方について考えていきたいと思います。

文=森田専務/桃山商事、写真=Graphs/PIXTA