おしゃれはもう春に向かい始める。2016年春夏の注目モチーフに浮上してきたのは、絞り染めの「タイダイ」。トロピカル感や手仕事ムードを醸し出すタイダイは、ポジティブな気分が強い。盛り上がりが続くヒッピーやボヘミアンのテイストにも交わらせやすい。春からの伸びやかな着姿に導くアレンジ法を早めにマスターしておこう。

◆手仕事感が魅力のタイダイ
GAS 2016年春夏コレクション
GAS 2016年春夏コレクション
GAS 2016年春夏コレクション
GAS 2016年春夏コレクション

 タイダイの「tie」はネクタイのタイと同じで「しばる」という意味だ。「dye」は「ヘアダイ」でおなじみの「染める」という意味だから、その名前が示す通り、布をしばった状態で染料に浸ける染め方を指す。しばった部分には染料がしみ込まないので、その部分は地の色が残る。布にできたしわがナチュラルな味わいを生む。しばり方次第で出来上がりの表情が異なり、同じ染め模様は二つとない。手仕事感がそのまま染め上がりに写し取られるので、機械染めにはないヒューマンな風情も漂う。

 ヒッピーが愛した染め模様だけに、デニムとの相性は抜群。タイダイに似た、デニムの色落ち加工とも組み合わせやすい。タイダイの持ち味は、ところどころ色がかすれたような濃淡の色味にもある。染めた本人ですら、しばりをほどいてみないと、出来上がりが分からないという、一種の偶然性を帯びているから、自然なむらやにじみのある表情が生まれる。デニムの持つフランクな雰囲気は、タイダイの気取らないムードと穏やかになじむ。着古したヴィンテージのような風合いも備わり、セットアップで着ても、こなれた着姿に整えやすい。