「巻く」を超える大技アレンジ

marumasu 2016春夏コレクション
marumasu 2016春夏コレクション

 ストールは首や肩に「巻く」という印象が強い。だが、そのセオリーを崩して、ダイナミックにまとえば、服を新調したような変化を呼び込める。

 例えば、全く結ばないで、肩から長く垂らすと、ボタンのないジャケット風の着映えに。色や柄が目を惹くタイプであれば、シンプルめの服にかぶせて、サマーレイヤードを組み立てられる。マルチカラーが交錯する現代アートのようなストールは、着姿にも知性とアッパー感を寄り添わせてくれる。ストールをドレス風にまとうスタイリングだ。

marumasu 2016春夏コレクション
marumasu 2016春夏コレクション

 ヘッドアクセサリーを楽しむ人が増える中、ストールで髪をくるむような操り方も試してみたい。アジアやアフリカの民族衣装にも似たまとい方だけに、ボヘミアンやノマド(遊牧民)のムードが生まれる。オフの日にイメージをガラリと変えるのに向く。髪がまとまりにくい日のカバーにも役立つ。

 目を惹くマルチカラーのタイプは高い位置に視線を呼び込んで、全体のプロポーションを縦長に見せる。頭に巻いて、余った端をだらりと長く垂らせば、さらに縦落ち感が強まる。垂らした部分を身頃にかぶせて、服の一部のように組み込むと、あっさりした夏の薄着にも華やぎが加わる。

marumasu 2016春夏コレクション
marumasu 2016春夏コレクション

 丸枡染色は映画『男はつらいよ』シリーズでおなじみの東京・柴又で1901年に創業した老舗の染色工場。ファクトリーブランドの「marumasu」は、熟練の技術を継承した若手職人が自らデザイナーとなって素材選びから企画、デザイン、そして制作まで担当して作り出されている。

 社名が示す通り、染色がルーツだけに、色の表現と、それを生かす素材の扱い方が巧みで、まとい方のバリエーションが楽しめる。日本が世界に誇れる繊維と染色の確かさを実感できるストールは、身につける人に自信とプライドまでもたらす。

ストール使い方・ランクUPアドバイス

 春夏仕様の薄手ストールはオフィスルックに追加するだけで雰囲気が変わる。バッグに忍ばせておくと、急なデートや集まりにも心強い。男女兼用で使えるので、パートナーともシェアできる。エアコン風のブロックにも役立つ。

 色・柄や風合いの異なる2本を重ねると、さらに趣深い着映えに。何通りもある操り方を使い分ければ、着回しの幅を格段に広げられるから、スタイリングの腕を上げる楽しみも大きい。

文/宮田理江 画像協力/marumasu