「特別な日」でも肌見せは有効

「Room no.8 BLACK」2016年春夏コレクション
「Room no.8 BLACK」2016年春夏コレクション

 肌見せはカジュアルルックだけのものではない。パーティーやイベントに似合う装いの場合、分別をわきまえたヌーディー演出はかえって大人っぽさを添える。肌の出しすぎは禁物だが、メッシュやレースを生かした程々のシースルーは品位を損なわない。とりわけ、袖のメッシュは身頃ほど主張が強くないから、かしこまった場にも取り入れやすい。二の腕はしっかり隠しつつ、たっぷりした袖がうっすらと腕のシルエットを透かし見せ、細感を目に残す。ホワイト系のクリーンな色味は素肌のクリーンな印象を引き立ててくれる。首周りの開き加減、膝上のワンピース丈も絶妙のバランスだ。

「Room no.8 BLACK」2016年春夏コレクション
「Room no.8 BLACK」2016年春夏コレクション

 露出する面積が控えめでも、素肌美を印象づけるスタイリングは可能だ。代表的なディテールが裾のスリット。脚の動きにつれて、裾が割れてフェミニンが薫る。その技法をワンピースの袖に生かした。さらに、メッシュで透かし見せの演出も加え、ドラマティックな腕の肌見せに仕上げている。ミステリアスな風情を帯びた着姿だが、いやらしさも軽さも遠ざけ、むしろ気品が漂う。膝がのぞく程度の着丈がレディーのたたずまい。割としっかり脚が出ているのに、やりすぎに見えないのは、静かなシルエットと上品な質感のおかげ。ネックラインのノーブルな曲線も美しい。

「Room no.8 BLACK」2016年春夏コレクション
「Room no.8 BLACK」2016年春夏コレクション

 「ルーム エイト」は小島直子デザイナーが2011年に立ち上げたブランドで、大人っぽくてラグジュアリーな日常服を提案している。ビームスやベイクルーズでバイヤー経験を持つだけに、今の女性が求めるリアルモードへの目配りが利いている。リラックス感ときちんと感を兼ね備えていて、着る女性をそっと引き立ててくれる服だ。特別な日にふさわしいライン「BLACK」はかしこまった場面にも自信を持って臨める装いを用意。アレンジ次第で普段使いも楽しめる。

 大人っぽい肌見せに欠かせないのは、やりすぎを避ける分別と、優美なシルエットの2点。透かしディテールやスリット演出、袖ロールアップなどが露出過剰を遠ざけながらも、程よい健やかヌーディーに導く。品格を保つうえで大事なのは、ほのかに色気を薫らせる、控えめの肌見せ具合だと心得たい。

文/宮田理江 画像協力/Room no.8