上級者 → 濃淡でムードに深み
赤系カラーの種類は多い。朱色やワインレッドなど、トーンの異なる赤系を組み合わせると、着姿に深みを出せる。鮮やかレッドのカーディガンに引き合わせたのは、ボルドー系レッドのパンツ。色味の濃淡に差がある2色が女っぽさを奏でる。視線を集めたいほうにビビッドカラーを迎えるのが基本的な配色だ。
柄物と無地のコーデも成り立つ。赤が入った小花柄のワンピースには、くすんだトーンの赤パンツで合わせた。小花柄のピンクっぽい赤と、パンツの渋みを帯びたレッドがうまく調和して、ワンピース1枚で着るよりもぐんと落ち着いた印象に。穏やかな色味の赤アイテムは着映えを大人っぽく整えてくれるから、オフィスの着こなしにも役立てたい。さらに、ロング丈の羽織り物で、縦落ち感のある「ロング&リーン(長く細い)」のシルエットにまとめ上げている。
ワンポイント投入で、赤の苦手意識を払拭できる
1996年に誕生した「ヴゼット」は、熟練した美しいパターンに加え、糸からこだわった、上質なオリジナル素材作り、丁寧なディテールにファンが多い。2017‐18年秋冬シーズンは差し色に赤を使い、ベーシックカラー×差し色で新鮮なムードを醸し出した。ハウンドトゥース(千鳥格子)柄、ゴブラン織り、ツイード生地などを組み合わせて、「オーバーラップ」というテーマにふさわしい、奥行きの豊かな装いを組み上げている。甘さとモードのバランスが取れたテイストはシーンを選ばずにまといやすい。
赤が苦手な人も少なくないが、まずは、面積を抑えつつ、ワンポイント投入にとどめてみよう。既に赤を味方につけている人も、サンドイッチ使いやトーン違いでバリエーションを広げていける。くしくも赤がブーム。せっかくの機会なので、今回ご紹介した3つのバージョンを参考に、赤をレパートリーに加えてみては。
文/宮田理江 画像協力/VOUS ETES