冷え、便秘、肩こり、むくみ、くすみ……。女性が悩む不調には、血流やリンパが密接に関係しています。まさに女性の健康もキレイも「血流とリンパ」次第! 最近の研究では、ある一部の血管が慢性的な痛みにも関わっていることがわかってきました。今号では、血流やリンパにアプローチして、気になる不調を解消する“最新の”方法を一挙ご紹介します。

 私たちの全身、頭のてっぺんから足先、内臓のいたるところ、すみずみまで流れる「血液」と「リンパ」。この2つが今、女性からあらためて注目されている。専門家による血流や血管、リンパに関する書籍も、健康本の棚をにぎわしている。

 こうして血流やリンパが関わる不調を列挙すると、女性の主な不調の「9割」に関わっているといっても過言ではないだろう。そんな血流とリンパ。まずはそのしくみを解説しよう。

2016年12月16日~2017年1月12日の28日間、「日経ヘルス」「日経ウーマンオンライン」の読者を対象にウェブで調査。回答した220人について集計。平均年齢は42.9歳
2016年12月16日~2017年1月12日の28日間、「日経ヘルス」「日経ウーマンオンライン」の読者を対象にウェブで調査。回答した220人について集計。平均年齢は42.9歳

 「IT機器などの進化で便利になった一方、運動不足が原因で、血液やリンパの機能が発揮しにくくなっている」というのは、下肢静脈瘤に詳しい慶友会つくば血管センター長の岩井武尚医師。それは、血液とリンパの流れ方に理由がある。

 血液は約4L、リンパは約2L。合わせておよそ6Lもの液体が全身を巡っている。

 体をしっかり動かし、深い呼吸ができていれば、血液もリンパもスムーズに流れるが、座りっぱなしだったり、運動不足だと、ポンプ作用が働かず、滞りがちになる。その結果が、「むくみ」だ。たかが「むくみ」と思うかもしれない。だが、栄養の吸収や老廃物の回収、体内の水分バランスの調整、免疫、各種ホルモンの運搬など、血液やリンパが担う機能は、「適正に流れていることで発揮できる」と、リンパ学に詳しい信州大学医学部の大橋俊夫特任教授。

 一方、「全身のどんな細胞も毛細血管から0.03mm以内の距離に存在する。毛細血管は、全身の細胞に酸素や栄養素を届け、老廃物や二酸化炭素を回収する最前線だが、毛細血管を健康に保つためにも、血流が良いことが大切」と、ハーバード大学客員教授の根来秀行さんはいう。

血液の走行は左右対称
体重の約8%で、体重50kgなら4L程度。心臓から送り出されると全身の動脈を通って、細胞に栄養や酸素を受け渡し、静脈からまた心臓へと戻る。走行に左右差はないが、安静時は半分以上が内臓へと向かう。リンパ同様、静脈は筋肉のポンプ作用によって心臓に戻される。

リンパは右上半身のみ違う流れ
リンパ液は体内におよそ2Lある。全身に約600個あるリンパ節はリンパ球の待機場所で、“フィルター”の役割も果たす。下肢と左上半身のリンパは左鎖骨下へ、右上肢と右頸部からは右の鎖骨下へ流れ着く。血管とリンパのルートは必ずしも並んでいない。

この人たちに聞きました
大橋俊夫特任教授
信州大学医学部
信州大学医学部卒業後、英国ベルファストクイーンズ大学講師、信州大学医学部長をへて現職。リンパ学研究の第一人者。日本リンパ学会理事長。『腸のリンパを流せば、病気が逃げ出す』(PHP研究所)など、著書多数。

岩井武尚医師
慶友会つくば血管センター長
東京医科歯科大学医学部卒業後、米国に留学し、ニューヨーク大学関連病院などで血管外科の分野を学ぶ。1999年、東京医科歯科大学外科教授、血管外科診療科長。2007年から現職。著書に『下肢静脈瘤・むくみは自分で治せる』(学研プラス)など。

根来秀行さん
ハーバード大学医学部客員教授
医学博士。パリ大学医学部客員教授、事業構想大学大学院理事・教授。東京大学大学院医学系研究科内科学専攻修了。最新刊は『「毛細血管」は増やすが勝ち!』(集英社)。睡眠アプリ「Sleepdays」を開発。

取材・文/白澤淳子、西山裕子(編集部)、写真/鈴木 宏、デザイン/ビーワークス

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