好きなものを好きなだけ食べたい、でも太りたくはない……そう思いませんか?そんなあなたのために、今号の第1特集は、ガマンや無理をしなくても、太らない「魔法のような食べ方」をまとめました。今、「なに」を「どのくらい」食べるかだけでなく、「いつ」「どのように」食べるかによって、ダイエット効果が変わってくることが明らかになってきました。まずは、その基本の食べ方ルールを覚えましょう。そして、専門家が提案する賢い食べ方を取り入れて、一生太らない体に!

2016年3月16日~4月7日の23日間、「日経ヘルス」「日経ウーマンオンライン」の読者を対象にウエブで調査。回答した178人について集計。平均年齢は41歳、会社員が62.4%
2016年3月16日~4月7日の23日間、「日経ヘルス」「日経ウーマンオンライン」の読者を対象にウエブで調査。回答した178人について集計。平均年齢は41歳、会社員が62.4%

 「ベジタブルファーストこそ、太らないために最も重要な食べ方」というのは、愛媛大学医学部の伊賀瀬道也特任教授と、ダイエット支援サイト「あすけん」の管理栄養士・道江美貴子さん。野菜から先に食べ、最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べることで、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする“太りにくい”食べ方だ。

 最近は、野菜ではなく、肉や魚を先に食べても血糖値が上がりにくくなったという研究もあるが、「野菜の量を減らさないために、野菜が先、と意識することが大切」(伊賀瀬特任教授)。

 この食べる順序に代表されるように、「いつ」「どう」食べるかが、ダイエットに関わると注目されている。例えば、セカンドミール効果。「水溶性食物繊維のβ -グルカンを含む大麦やキノコ、大豆には、その食事だけにとどまらず、次の食事の血糖値上昇を抑える効果が期待できる」と静岡大学農学部の森田達也教授。このメカニズムから、会食などの前の食事で、工夫する、というのも手だろう。

最新ダイエットのキーワード

時間をかけて食べればダイエットに
スローチューイング Slow Chewing
同じ食品を早く食べるより、ゆっくり食べるほうが食後の消費エネルギー(食事誘発生熱産生= DIT)が高くなる。その効果の源は、咀嚼回数とされてきた。しかし、食後にガムをかんでもらい咀嚼回数を増やした研究では、DITは上がったものの、食事自体をゆっくり食べるほどは高くならなかった。「味わって食べることが大切」(東京工業大学 林直亨教授)。

夜遅く食べると太る原因に
時計遺伝子 Clock Gene
時計遺伝子の発現の増減が、生体リズムの周期を作っていることがわかっている。「主な時計遺伝子は4つ。Clock、Bmal1が生体リズムの波を大きくし、Period、Cryが抑制して、バランスがとられている。これらはエネルギー代謝にも関わっており、夜遅くに食事をすると、Bmal1遺伝子の働きで、脂肪細胞へ脂肪がたまりやすくなるとわかっている」と国立病院機構京都医療センターの津崎こころさん。

食べ過ぎる前に調整できる!?
セカンドミール効果 Second Meal Effect
1食目に食べたものが、2食目の血糖値に影響すること。大麦では3食目にもその効果が及ぶことが知られている。「全粒粉、玄米も2食目の血糖値をゆるやかにする可能性がある。消化されない部分や、大腸で発酵する要素があるものが、セカンドミール効果につながる」と森田教授。朝食にセカンドミール効果のある食品をとっておくと、昼食で“やせ効果”が期待できるというわけだ。

野菜を最初に食べて太りにくく
ベジタブルファースト Vegetable First
野菜⇒肉や魚⇒ご飯やパン、の順に食べる方法。野菜を先に食べてから、たんぱく質をとり、最後に血糖値を上げやすい炭水化物を食べる。その結果、糖の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を抑える。同じ食事内容でも、順序を変えるだけで、太りにくくなる。アンチエイジングの面でも効果的な食べ方。

食品の栄養素密度
N/Cレート Nutrients/Calories
ある食べ物の総カロリーに対して、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養がどのくらいなのかを換算した割合。栄養素密度。「米国のジョエル・ファーマンが作成したANDIスコア(Aggregate Nutrient Density Index)が代表的。上位には色の濃い野菜が並び、いも、豆、魚、肉と続く」とボディワーカーの森拓郎さん。

この人に聞きました
伊賀瀬道也特任教授
愛媛大学医学部附属病院
老年・神経・総合
診療内科特任教授

愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長。循環器専門医、老年病専門医。アンチエイジングドックを担当し、そこから導き出されたデータから循環器疾患や認知症などのリスク研究も行う。「1日のうちで多種類の食材を食べることもアドバイスしている」。

道江美貴子さん
あすけん
事業統括責任者

管理栄養士。女子栄養大卒。ダイエット支援サイト「あすけん」の統括責任者で、ダイエットをしたい人の食事内容について分析している。「ダイエットに成功している人の食事を分析すると、パン+コーヒー→バナナ+青汁+ヨーグルトなど、朝食を変えられた人が多 い」。

森田達也教授
静岡大学農学部
応用生物科学科

愛媛大学農学部卒業。医学博士(岐阜大学)。食品成分と腸の相互作用について研究。日本食物繊維学会常務理事で、11月に静岡大で学会。「セカンドミール効果は、大腸内の発酵でできる成分、短鎖脂肪酸が関わっているという説が有力」。

取材・文/白澤淳子(編集部)、中野恵子、写真/鈴木 宏、スタイリング/中野あずさ(biswa.)
ヘア&メイク/依田陽子、モデル/高原 愛、デザイン/ビーワークス、撮影協力/UTUWA

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