AKB48の「初代総監督」として、個性も気も強い300人を超えるメンバーを率いてきた高橋みなみさん。この4月、10周年を機にAKB48を卒業することに。“理想のリーダー”と称される彼女に、今だから話せる、女子チームをまとめるコツを聞きました。

Profile
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1991年生まれ。2005年にAKB48の第1期メンバーとして活動開始。09年にAKB48・チームAのキャプテンに、12年には総監督となる。活動10周年となる16年4月に、AKB48を卒業。著書は『リーダー論』(講談社)

お互いへの対抗心いっぱい、そのくせ群れがち。
女子のやる気を引き出す話し方はある!

コミュニケーションの基本は「相手を知ること」

 「人間関係に近道はないと思います。1人1人を知っていくしか、攻略法はないんです」

 そう“リーダー論”を語るのは、AKB48の「初代総監督」として、300人のメンバーをまとめてきた高橋みなみさん。本来は決してリーダー気質ではなく、「人見知りだし、1人でいるほうが好き」と苦笑する。「でもAKB48が好きで、グループをもっと良くしたかった。そのためにできることを模索した結果が、リーダー役だったんです」。

 メンバーは性格も得意分野もそれぞれ異なる、個性の強い女子ばかり。彼女たちをまとめるために高橋さんが実行したのは、ひたすら「1人1人に話しかけて、相手の人柄を知る」という地道な方法だ。

 「相手が話しかけてくれるのを待つだけでは、距離が広がるだけ。だったら、さっさと自分から話しかけたほうがいいと思います。一見クールな子でも、じっくり話してみたら意外に熱い一面を持っていたりするんです。本音を知れば、どんな相手でも嫌いになることはありません」

 リーダーとして、時には悩みの相談に乗り、叱咤(しった)激励する必要もある。その際、自分の言葉に説得力を持たせるには、日頃の関係が鍵となる。

 「例えば同じ『おはよう』でも、ぽんと肩をたたいて『○○ちゃん、おはよう』と言うことで、『私はあなたに関心を持っているよ』と示せます。普段から、信頼関係を築いておくことで、いざというときに『たかみなさんが言ってるなら、聞かなきゃ』と思ってもらえるんです」

女の子に、女の子として対応してはダメ

 メンバーのキャラクターを把握するにつれて、1人1人の体調や気持ちの変化をすぐに読み取れる“センサー”も磨かれた。「楽屋に入った瞬間、『この子、調子悪いな』って雰囲気で分かります。そこで『大丈夫?』と聞くべきか、放っておいたほうがいいかは人によって違う。そういう対処法も、相手を知っているからこそ分かるんです」

 気分の波が激しく、ライバル意識の強いメンバーを率いるなかで、高橋さんが実感したのは、「女の子には、女の子として向き合ってはダメ」ということ。

 「女の子同士だと、『負けたくない』という対抗意識が生まれがち。だから『この人はライバルじゃない』と思ってもらったほうがいいんですよね。警戒心を解くために、普段は自分からふざけたことを言って、みんなが話しかけやすい空気をつくるよう意識しました」

取材・文/工藤花衣、写真/矢作常明、スタイリスト/細田真弓、ヘアメイク/池 成美(オサレカンパニー)

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