日頃から信頼関係を築き頼み事ができる人を持つ

 「ひとりの老後に一番大切なのは、仲間をつくること」。こう話すのは、女性ひとりの老後を支援するSSSネットワーク代表の松原惇子さん。「老後の元気な時期に、夫や子供、孫がいなくて寂しい思いをする人も多い。若いうちから気の置けない友人と信頼関係を築いておくと、老後に生活の困り事を助け合えるし、日々を楽しく過ごせます」。

 また、FPの山田静江さんは親族の大切さを指摘する。「入院や施設入居時に求められる保証人や、手術の同意書にサインする役割などは多くの場合、親族に求められる。姪(めい)や甥(おい)などといい関係を築いておきましょう」。

 頼れる親族がいない場合、後見人を立てる方法も。「後見人がいれば、施設入居時の身元保証人の代わりと見なされることが大半です。おひとりの高齢者は他人や親族に財産を狙われることも多い。判断能力のあるうちに、信頼できる司法書士などと任意後見契約を結んでおくといいですよ」と成年後見センター・リーガルサポート副理事長の川口純一さん。

(C)PIXTA
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老後に「頼れる人」を持つために今からできる6つの習慣

1. 気になる人には自分からアプローチ
今の友達との関係も大切にしたいが、互いの生活環境の変化で疎遠になることも。「何歳からでも友達はできます。気になる人と知り合ったら自分から声を掛けて食事にでも誘ってみて」(松原さん)。

2. おしゃれや見た目に気を使う
「初対面同士が会う場で、マスク姿で服装にも構っていないような人は敬遠されます。華やかな服やアクセサリーを身に着けるだけで声を掛けられやすくなり、友達の輪が広がりますよ」(松原さん)。

3. 趣味や価値観が同じ仲間を見つける
「同じ趣味を持つ人、価値観が似ている人とは、長く付き合える可能性が高い」と松原さん。「スポーツでも政治運動でも興味のある活動に参加してみては。一生の友達ができるかもしれませんよ」。

4. 兄弟、甥・姪など、親族を大切にする
「おひとり老後には、各種手続きで親族に頼らざるを得ないこともあります」と山田さん。入院や施設入居時の身元保証人や身元引受人、手術時の同意などが頼めるよう、兄弟や甥・姪を大切に。

5. 隣人とは挨拶し、感じ良く接する
おひとりの高齢者の様子を心配し、災害など緊急時にサポートしてくれるのは、近所の人であることも多い。日頃から挨拶をしておき、ちょっとしたことを助けてもらえる関係をつくっておこう。

6. かかりつけ医を持っておく
定期的に健康診断を受けるとともに、信頼できるかかりつけ医を持つと安心。「風邪で受診する内科でも、婦人科などでもいい。隠れた病気を早期に見つけてもらえる場合もあります」(山田さん)。

この人たちに聞きました
松原惇子さん
SSSネットワーク代表
ノンフィクション作家。1990年に『女が家を買うとき』(文藝春秋)でデビュー。98年にSSSネットワークを設立。2000年に女性のための共同墓を建てた。

山田静江さん
ファイナンシャルプランナー
都市銀行、会計事務所、独立FP会社を経て2001年に独立。執筆やセミナー講師、個人相談などを通して、安心して暮らすためのプランニングを提案。

川口純一さん
成年後見センター・リーガルサポート副理事長
司法書士

司法書士川口事務所所長。明治大学法学部卒業後、パイオニア勤務を経て、1992年に司法書士試験合格。渋谷区高齢者虐待担当者会議委員。

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