怒りっぽい自分が嫌、不安で心が押し潰されそう。そんな人は、負の感情のコントロール法を身に付けて。怒りが湧きにくく、小さなことに幸せを感じられる─そんなポジティブ体質を目指して、いざ挑戦!

 「怒りや不安は感じて当然。無理に抑える必要はありません」と、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さん。「ただ、負の感情をコントロールできないとヒステリックな人と思われ、信頼を失うことも」。感情の整え方はぜひ身に付けたいたしなみだ。重要なのは、あらゆる感情を生んでいるのは他でもない自分だと知ること。「すると感情は自分で整理整頓すべきものと分かり、不機嫌を人のせいにしない、精神的に自立した大人になれます」。負の感情の整理法と、ネガティブ体質の改善法をダブルで実践し、いつもゴキゲンな私になろう!

プラナ/ PIXTA(ピクスタ)
プラナ/ PIXTA(ピクスタ)

湧き上がってくる負の感情は4マス整理で対処

感情の4マス整理4ステップ

STEP1・不安や怒りの中身を具体化する
STEP2・1に関して、自分でコントロールできることか否かを仕分ける
STEP3・さらに、自分にとって重要なことか否かを仕分ける
STEP4・コントロール可能で重要度が高いものだけ、すぐできる行動をする

 不安や怒りなど日々湧く負の感情は、4マスの表で整理しよう。鍵は「自力でコントロールできる・できない」と「重要か否か」を勘案すること。コントロール可能で重要性が高いものは、建設的な対処法を考えて、即実行。自分ではコントロールできず重要性が低いものは、「気にするだけ損」と割り切ろう。

例1・取引先がいつも締め切りを守らないのが、我慢ならない!!

4マス整理STEP1
A社の担当者B氏が何度言っても締め切りを守らない。上司に企画書を提出できず、私が叱られる不条理な状況。

4マス整理STEP2
他社の社員をコントロールはできないが、非常に困っている状況が理解されれば、A社が何か対策を講じてくれるかも。

4マス整理STEP3
A社とは長い付き合いだし、B氏も企画力は優れているので、良好な関係を継続していくことは非常に重要。

4マス整理STEP4
A社に改めて締め切りを守るよう伝え、それでも改善されない場合、遅れることを見越して締め切り日を早めに設定。

例2・遠くない将来、親の介護をしなくてはならないと思うと不安…

4マス整理STEP1
不安要素は、(1)親が要介護状態にならないか、(2)仕事と介護とを両立できるか、(3)介護費用を用意できるか、の3点。

4マス整理STEP2
将来親がかかる病気は現時点では分からないので、(1)はコントロール不可能。(2)と(3)は自分でコントロールが可能。

4マス整理STEP3
(2)(3)共に、自分自身の将来の生活を支える働き方やお金に関することなので、重要度は非常に高いといえる。

4マス整理STEP4
(2)は会社の介護休業制度などを確認、(3)は親が望む介護の形を聞き、親の貯金や行政の介護サービスなどを調べる。

強い感情にはこうして対処

(1)深い悲しみ
⇒無理に蓋をせず、涙を流すことは大事
「大事な人を亡くした」などの深い悲しみを、4マスで整理するのは無理。「悲しいときは無理をせず、泣くほうがいい。泣くと副交感神経が優位になり、心が落ち着きます」。

(2)引きずる怒り
⇒視点を「過去の相手」から「未来の自分」に転換
引きずる怒りは、過去の相手に向いていた視点を、「輝く未来の自分」に転換して断ち切る。「原因がなんであれ、自分と未来のみを見つめ、変えようがない相手と過去は切り捨てて」。
この人に聞きました
戸田久実さん
日本アンガーマネジメント協会理事
アンガーマネジメントやアサーティブコミュニケーションなどをテーマに、企業研修や講演を実施。これまでに指導した人数は10万人以上。著書に『働く女の品格』(毎日新聞出版)など。

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