昔から美と健康に活用されてきたハチミツは、実は薬局でも手に入る“薬”。常備しておけば、カゼを防ぎ、乾燥肌を改善するなど、この季節のケアに大活躍してくれます。冬にぴったりのハチミツの活用術をご紹介します。

 「古くからハチミツは、抗菌作用が分かっており、自然治癒力を高める生薬として世界的に活用されてきた」と、グリーンフラスコ代表で薬剤師の林真一郎さん。実は国内でも、ハチミツは医薬品の基準を定めた「日本薬局方」で、唇の亀裂・荒れへの効果が記されている。

 最近ではハチミツの多彩な効能が科学的に解明されている。「180種以上の成分を含み、10種以上のポリフェノール、約10種のミネラル、ビタミンCやB群、酵素、有機酸などを含む。ハチミツの約8割は糖分で、そのほとんどが単糖類のブドウ糖と果糖であり、体内で速やかにエネルギー源になる」と、山田養蜂場の柳原美弥子さんは話す。そのため、林さんは、「ミツバチは、花蜜の栄養素を自らの酵素で分解し、人間が吸収しやすい形に変えてくれる、いわば〝薬剤師〟のようなもの」という。

 冬の時期は、カゼ対策にも効果を発揮する。実際、子どもの咳を改善するという複数の報告も。さらに、ハチミツには抗菌・殺菌作用があり、最近では免疫力を高める働きがあることも分かってきた。

 また、のどや鼻の粘膜、肌を守る効果も。「ハチミツは保水性が高く、アカシアハチミツには保湿剤に使われるグリセリンと同程度の保水性があることが分かっている。傷口の回復を促す作用も明らかになってきた。最近ではソバやアカシアのハチミツを使った研究で、傷口の治癒を促す働きが確認された」と柳原さん。これは、傷口で、新しい組織を作る線維芽細胞の働きを促すためだという。

 そのほか、血糖値を上げにくくする、歯石を防ぐなど、美と健康にうれしい効果がたくさん。

健康と美容に大活躍!
ハチミツの4大効用

・咳を鎮め、カゼ対策に効果
・肌の乾燥を改善、傷口の回復を促す
・血糖値が上がりにくい
・歯石予防


そのほか
・腸内環境を整える
・紫外線によるメラニン生成を抑える
・二日酔いに

ハチミツの選び方

ハチミツは花蜜の主成分・ショ糖を、ミツバチが酵素によって果糖とブドウ糖に分解している。蜜源によって風味や成分が異なる。「果糖の割合が多いものは結晶しにくい。色の濃いものはミネラルやポリフェノール成分が多く、抗酸化力が高い傾向にある」(柳原さん)。

この人たちに聞きました
林 真一郎さん
グリーンフラスコ代表(メディカルハーブ専門店)
薬剤師。臨床検査技師。アロマテラピーやハーブ療法の普及に取り組む。「ドイツでは、ハーブにハチミツを合わせたものがカゼ薬として処方されてきた」。近著は『臨床で活かせるアロマ&ハーブ療法』(南山堂)。

柳原 美弥子さん
山田養蜂場本社
みつばち健康科学研究所で6年間、予防医学の観点から蜂産品の有用性を研究し、蜂製品の機能性・安全性にも詳しい。「日本ではアカシアやソバのほか、レンゲ、トチなどのハチミツも主流です」。

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