2016年がスタートした。今年は機能性表示食品制度にとっては、早くも大きな正念場を迎える。

 まずは、機能性表示食品制度自体の見直しがスタートする。主な課題は(1)栄養摂取基準に載っているビタミン・ミネラルなどの栄養素を制度の対象に入れるかという問題、(2)関与成分が特定できない素材を制度の対象に入れるかという問題、(3)臨床試験や研究レビューの対象となる論文の被験者に軽症者(病者)をも含むかといった問題の3点であろう。

 ただし、3点ともに学術的な問題、法的な問題、さらには政治的な問題等が複雑に絡んでおり、一度に検討を行うのはかなりの困難を伴うことも予想される。まずは、栄養機能食品との整合性さえ取れれば比較的合意に近いと思われる(1)だけ、もしくは薬局法の生薬の基準を参考にすることも可能な(2)を切り離して検討していくことも十分考えられる。早ければこの1月にも見直しの検討会がスタートする可能性がある。

 さらに、昨年11月27日に入札が行われた、「機能性表示食品制度における機能性に関する研究レビューの検証事業」も注目の一つだ。本年3月25日に提出期限を迎えるこの事業は、あくまでも機能性があるかないかを検証するものではなく、レビューの手順がきちんと行われているのかを検証するものとなっているものの、企業側にとってはその詳細が現在はわからない。事業内容いかんによっては今後の届出受理作業にも影響が出る可能性もあり、戦々恐々としているとみられる。他にもいくつかの団体で機能性表示食品制度の研究レビューに関する検証作業が行われている。

 さらに、消費者団体からは昨年末に再度、関係各所に要望書等が送られており、今年も引き続き消費者団体関連の動きも活発になると思われる。いずれにしてもこの制度は現時点では未完成。参考にした米国のDSHEA法も施工後20年たった現在でも、毎年、改正が続いている状態である。機能性表示食品制度は長い目で見守る必要がある。