●ポイント(1)「派閥を無視する」

 私が大好きな漫画に「島耕作シリーズ」がある。課長から始まり、現在は会長まで出世した。彼は何度も派閥争いに巻き込まれたが、上手に通り抜けている。「だって漫画だし…」と言われればそうなのだが、島耕作は常に、自分の志と社員やユーザーの事だけを考えている。島耕作自身は「出世しなくてもいい」と思いながら、登り詰めた。

 現実の社会では、1985年にAppleを追い出されたスティーブ・ジョブズが有名だ。彼は理想を追いかけ、そのコンピュータを作りたかっただけ。だが経営陣は違っていて、気がついたら派閥というか、ジョブズとそれ以外という組織になっていた。結果的には、それがAppleの致命傷となって会社が大きく傾き、結果的にジョブズが再び戻ることになった。

 派閥争い自体を時間のムダと捉え、人とつるむこと自体を避けることができるかどうか。私も派閥争いに巻き込まれそうになることは何度もあったが、適当にごまかして自分のやりたいことだけをやっている。出世の道は途絶える可能性があるが、流されたり巻き込まれたりしないだけ、気が楽である。

●ポイント(2)「派閥は、勢力の大小で選ばない」

 皆さんの中には、派閥に入ることが好きという人もいるだろう。そんな人は必ず派閥争いに巻き込まれる。それは、自分が選択したのだからOKだ。では、どっちの派閥につくのか、どういう基準で決めるのがよいのだろうか。

 派閥の「大小」で決めるのはナンセンス。恋愛と同じように「好き」「嫌い」で決めればいいのだ。恋愛や結婚も「好き」「嫌い」を判断基準にしておけば、いざというときに自分で決断しやすい。派閥も一緒だ。自分が好きな人についていけばいい。そしてその「人」が違う派閥を作ったら、またついていけばいいだけ。単純だ。

 「夫」や「恋人」がベンチャー企業に転職したら「大企業じゃないからさようなら」ということになるだろうか。中にはいるかもしれないが、そんなことで決める人はほとんどいないだろう。

●ポイント(3)「過去に捉われず、今の価値で吟味する」

 新人時代にお世話になったとか、仕事を教えてもらったとか、それこそ親なら「育ててくれた」とか、過去の恩義や価値観に捉われるかもしれないが、それで派閥についていくとまた、痛い目に遭う。戦国時代なら、死んでいるかもしれない。恩は違う形で恩返しをすればいい。

 大切なのは、今の自分のミッションは何かを考えること。組織に属することで満足している人は別だが、本来あるべき姿は、組織やグループを使って自分が何を成し遂げるかということにある。

 大リーガーだって派閥でチームを選ばない。今の自分がそのチームでどう活躍できるかを見極めて決めているはずだ。

●ポイント(4)「目的を確認する」

 会社や友達グループ、家族というものは、何となくその組織にいなければならないもの。どっちが損か得か、などと考えるから、より複雑になっていく。派閥争いに巻き込まれる危機に遭ったら、「目的」に立ち返ってみればいい。

 極端な例だが、「お金を稼ぐためだけにこの会社に入った」のなら、人間関係などは無視して、お金が稼げるような派閥を選択すればいい。「親と一緒に暮らして、親孝行をしたい」と考えて二世帯住宅にしたのなら、問題があっても夫や子どもを無視して親のことを考えればいい。

 もちろん、生きていると目的が変わることもあるだろう。そんなときは、目的を変えればいいのだ。分からなければその都度「今の自分にとって、一番の目的は何か?」と書き出して考えればいい。