最近よく耳にする仮想通貨は、私たちの暮らしをどう変えるの? どう付き合ったらいいの? グローバルフィンテック企業QUOINE(コイン)のCEO栢森加里矢氏に聞きました。

協力/QUOINE

国境を越えてインターネット上で取引できる

――電子マネーは、通勤時やコンビニエンスストアでの買い物などで日常的に使っていて、身近なものになりました。仮想通貨は現金ではない点で電子マネーに近いものと感じていて、興味はあるのですが、よく分からずにいます。

 お札や硬貨といった現物ではない点は電子マネーと似ています。大きく異なるのは、電子マネーは国境を越えて送れないけれど、仮想通貨は瞬時に国境を越えてグローバルに取引できる点です。

 通常のお金は、国や中央銀行が発行し、日本なら円、アメリカなら米ドルですね。電子マネーも日本なら円です。しかし、仮想通貨は国が発行する通貨ではないので、そもそも国籍がありません。仮想通貨は、インターネット上で発行され、インターネット上で売買などの取引を行うものです。

栢森加里矢(かやもり・かりや)
ブロックチェーンとデジタル通貨の破壊的イノベーションにインスパイアされ、2014年にマリオ氏とQUOINEを共同設立。日本、米国、インドおよび東南アジアにおける投資、事業経営、ITならびにベンチャーキャピタルにおいて22年を超える経験を有する。東京大学法学士およびハーバード・ビジネス・スクールMBAを保有

――なぜそんなお金が生まれたんですか?

 最初の仮想通貨はビットコインで2009年に生まれました。いわゆるリーマンショックの翌年です。金融危機により、100年以上続いてきた名門といわれる金融機関が破綻し、国や中央銀行、大手銀行に対する信頼が一気に失われました。

 国や中央銀行や大手銀行がつぶれても、自分の資産は自分で守りたい、そんな気持ちを抱く人が増えた時にビットコインの白書(仕様書)が公表されて、誕生しました。

希少価値があり、不正も改ざんもできないビットコイン

――通常のお金とはどう違うのですか?

 国が認める法定通貨、いわゆるお金は、国や中央銀行が発行しています。作りたければその権限を持っている国や中央銀行がいくらでも作ってお金を増やすことができます。

 これに対して、ビットコインは最初から発行される量が決められています。希少価値があるのです。

 さらに、法定通貨のやりとりの記録は銀行が行っています。各銀行の台帳には出金や入金が記録され、これらのデータは外部の人間には公開されず閉ざされており、元台帳はひとつです。災害などに備えて別の場所に予備が1~2個はありますが、多くても3つでしょう。

 一方、仮想通貨のやりとりの記録はブロックチェーンという技術で分散して管理され、いわゆる台帳は万単位で存在します。取引データの台帳はブロック(塊)でチェーンのようにつながっています。

 例えば、私が誰かにビットコインを送ったら、その記録は複数の台帳で共有されますから、万一どれかひとつの台帳が破壊されても、国に何かあっても、地震などの天災があっても、記録は残っています。

 だから不正や改ざんは不可能。これがビットコインの最大の魅力です。ブロックチェーン技術の進化により、その後、イーサリアム、リップルなどいろいろな仮想通貨が誕生し、今ではおよそ2000種類以上あるといわれています。