ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016 受賞者

大賞  須永 珠代さん (42歳)トラストバンク 代表取締役社長

30代での「失業」を乗り越えて起業。
全国初のふるさと納税ポータルサイトを開設し、ふるさと納税ブームを牽引。
日本に寄付文化を広め、地方行政を元気にした

 全国初のふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を2012年9月に開設。お礼の品の魅力づくりのコンサルティングや特定事業へのクラウドファンディングなどによって、数多くの地方自治体の税収増を実現させている。月間4000万PV(ページビュー)、累計450万件以上の寄付の申し込みを集め、ふるさと納税の8割以上が同サイト経由と見られる。サイト開設前は年間100億円未満だったふるさと納税の寄付額は、2015年度には1000億円に達する見込み。地方行政を元気にするとともに、日本に寄付文化を広めたふるさと納税ブームの立役者として活躍する。

 須永さんは就職氷河期に大学を卒業後、地元の群馬県に戻って事務職として就職。そのまま働き続けることに希望を感じられず1年で退社し、上京して派遣社員やアルバイトで営業、経理、販売など10以上の職を転々とする。29歳で「手に職をつけよう」と専門学校や独学でウェブデザインやプログラミングの勉強を始める一方、「自分が社会に役立っていると心から思える仕事がしたい」と考え、30代で起業することを決意する。30代前半にITベンチャーで3年間働くも、退社した直後にリーマンショックが起こり、1年間、無職の生活を経験する。その後、2社目のITベンチャーに就職し、企業の通販サイト立ち上げの仕事でウェブデザイナー、ディレクター、コンサルタントと次々に活躍の場を広げる。38歳のとき、「起業を目標としていた30代が終わってしまう」と考え、退社して2012年4月にトラストバンクを設立。起業5カ月後の9月に開設したポータルサイト「ふるさとチョイス」によって、ふるさと納税の寄付額を飛躍的に伸ばし、日本中にふるさと納税ブームを巻き起こした。30代半ばでの失業という逆境経験を経ても、「社会に影響を与える事業をしたい」という信念を持ち続け、理想の働き方をつかんだ姿は、キャリアに悩む多くの働く女性に勇気を与える。