日仏で活躍する料理人・松嶋啓介氏。若くして達成した偉業の裏には、深き思慮があった。インタビューを通じて料理の世界と、ビジネス全般にも共通する成功の筋道を探った。

 「星付き」と言われるレストランは、日本各所に存在する。そして日本のみならず、世界中で活躍し、注目されている日本人の料理人=シェフが、続々と誕生している。

 同じ星でも、他国の料理人がその国に乗り込んで獲得した星は、一層輝いて見えるのではないだろうか。例えるならば、外国人シェフがここ日本において、日本料理で名誉ある賞を獲得するようなものだ。

 日本に『ミシュランガイド東京』が初登場したのは2007年11月だが、そこから2年ほど遡った頃、本場フランスでは当時28歳の日本人スターシェフが熱い視線を浴びていた。その日本人シェフは本場『ミシュラン』の2006年版において、外国人最年少シェフとして一つ星を獲得したのだった。

 松嶋啓介。現在フランス・ニースに3店舗、東京にも1店舗を持つオーナーシェフとして活躍中だ。ニースと東京を往復するだけでも忙しい彼だが、世界中のイベントや著名人たちの食事のアドバイザーなども務めているので、そのスケジュールは極めて過密だ。

フランス・ニースの店舗「KEISUKE MATSUSHIMA」
KEISUKE MATSUSHIMAの前で

 松嶋に対面した筆者には、松嶋の中にある深き思慮と独特の推進力のようなものを感じとった。インタビューを通して、松嶋が収めた偉業の原点にあるであろう、思慮と推進力の奥底を探っていく。

(本文敬称略)