■“結婚しなさそうなモテ男”を射止めた女性とは? 「パーソナル・スペース」がキー

 混雑した電車やエレベーターのなか、列に並んでいるときなど、見知らぬ他人に対して「近すぎる!」「もっと離れてほしい」と不快に感じたことはありませんか?

 人は誰しも「心理的な縄張り」を持っています。先ほど筆者が指摘した「パーソナル・スペース」とは心理学用語で、この縄張りを表します。

 見知らぬ人にこの距離まで近付かれたくない、友人・知人ならここまで許せる、これ以上は恋人以外には接近されたくない……どんな人も、相手との親密度によって、近寄ることを許せる距離に段階を持っているのです。

 パーソナル・スペースの広さには個人差があります。

 他人からの接近を許容できない範囲が狭い人もいれば広い人もいます。

 前者は付き合いがさほど深くない相手とも、比較的近い距離でフランクにコミュニケーションを行うことができます。後者は、わりと親しい人でも物理的に接近されるとストレスや抵抗感、嫌悪感や不快感、拒絶感を感じやすい傾向にあります。

 一般的には女性よりも男性のほうがパーソナル・スペースは狭い、つまり他人の接近を許しやすい傾向にあります。

 また人はパーソナル・スペースを侵害されると、背を向けたり、荷物を間に置いたり、その場から離れたりといった行動で防衛しようとします。

 こうした物理的な距離と心理的な距離との関係を研究したのが、アメリカの文化人類学者・ホールです。彼は人間の空間に対する行動を調査し、相手との親しさに応じて、物理的に接近することが許される距離を調べ、段階にわけました。

 大きく(1)密接距離(2)個人距離(3)社会距離(4)公衆距離の4つにわけ、さらにそれぞれを近接相と遠方相に分類、計8つの距離を示しました。

 芸能人とファン、という関係は(4)公衆距離にあたりますが、普段の社会生活で異性と接するときにとられる距離感は、一般的に(1)密接距離(2)個人距離(3)社会距離の3つでしょう。

 人間関係を円滑に進め、良好な関係を築くことのできる人は、無意識にもこれらの距離感をわきまえ、適切に使いわけることができているものです。相手のパーソナル・スペースを不用意に侵すことなく、絶妙な距離感を図ることができるのです。