日本人に大人気のハワイ。それでも、まだあまり知られていないスポットがたくさん。そんな「知られざるハワイ」を紹介しつつ、ハワイの魅力を探ります。第3回は、現代ハワイ史のスタート地点、アロハタワーが持つ歴史の足跡に迫ります!

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第3回【ハワイ】変わらぬアロハタワー、変わりゆくダウンタウン(この記事です)

 太平洋の中心にあるホノルル空港には、日本からの航空機が毎日数機到着します。台湾や韓国からの便も合わせると、降り立つ日本人は1日数千人。連休や年末年始になると、5000人を超えることもあります。

 「他の観光地と違い、ハワイに降り立つ日本人は分類できない」

 旅行会社スタッフやフライトアテンダントはそう言います。

 ハワイにはリピーターが多いのですが、旅の動機や好みで日本人を分類しようとしても、できないことがほとんどです。唯一、類型化するとしたら、「ハワイが好き」ということくらいでしょうか……。

 大企業の社長から、学校を出て就職したばかりの若者まで、何が彼らをハワイに引き寄せるのか? 現地在住の名物案内人、通称「へなしゅん」こと田中しゅんすけが、各所の現在と過去を織り交ぜながら、知られているようであまり知られていないストーリーを紹介しつつ、ハワイの魅力を探っていきます。

 3回目は、「アロハタワー」を取り上げます。

観光客を迎えるシンボル的な存在

 アロハタワーとは、ダウンタウンの港に建っている時計塔です。アールデコ調の歴史を感じさせる構造物で、10階建ての展望台フロアまでエレベーターで登ることができます。

アロハタワー
アロハタワー

 展望台フロアまでの登頂料は無料です。展望スペースは展望台フロアの4方向にベランダのような格好で付いていて、それぞれからホノルル港、ホノルル空港、ダウンタウン、ワイキキ方面を見渡せるようになっています。

アロハタワーの展望スペースから見た風景
アロハタワーの展望スペースから見た風景

 1926年に完成して、それ以降、観光客を迎えるシンボル的存在として君臨してきました。建った当時、アロハタワーは、遠くからでも見つけることができるくらいダントツに大きな塔でした。

 どうしてそのような塔が造られたのかというと、ホノルル空港が賑やかになる前は、アロハタワーのあるホノルル港がハワイの玄関だったからです。

かつてのアロハタワー周辺を写した写真
かつてのアロハタワー周辺を写した写真

 当時は、アロハタワーがある港から山に向けて、Fort Street(フォート・ストリート)というメインストリートが伸びていました。その一帯はまさに繁華街で、映画館やレストランが並んでいました。そのFort Streetは、山へ向かって少し行ったところでホテルが建ち並ぶHotel Street(ホテル・ストリート)と交差します。ハワイへ上陸した人々は、賑やかな通りを抜けて、ホテルへ飛び込んでいたわけです。

 現在、ダウンタウンは立派なオフィス街になり、高層ビルが建ち並んでいます。Fort Streetは歩行者専用道路、Hotel Streetはバス専用道路となり、その一帯から映画館やホテルはなくなりました。

 飲食店がたくさん並んでいますが、いずれも観光客用ではなく、オフィス街で働く人々や学生向けのものです。ハワイに何度か訪れているリピーターでも、この辺りには来たことがないという方がたくさんいらっしゃいます。

Fort Streetの様子
Fort Streetの様子
Hotel Streetの様子
Hotel Streetの様子

 2010年4月、アロハタワーから某大手旅行会社のオリエンテーションデスクが消えました。それまでこのオリエーションデスクには毎日約1000人の観光客がやって来たといいますから、アロハタワーにとっては大打撃だったと思います。かつては、ハワイ旅行のパンフレットといえばアロハタワーの写真が使われていましたが、最近はほとんど見かけません。若い人なんかは「アロハタワーって何?」という感じです。

 このオリエンテーションデスクが消えたこともあり、アロハタワーはさらに遠い存在になってしまったかもしれません。