(2)妊娠・出産

「妊娠・出産のタイムリミット」にいまさら気付かされた女子たち

 Bさんからも聞かれたように「子ども」というのは、女性の結婚への大きな動機のひとつだろう。

 そして彼女たちは、妊娠・出産に年齢制限が伴うという現実を知っており、否、いまさら知らされており、それが悩みの種となっている。

 背景にあるのは、生殖医療が発展するいっぽうで、避妊にしか着目してこなかったわが国の性教育の未熟さ。そのアンバランスさである。生きかたの選択肢が多様化するなかで「結婚適齢期」という言葉すら、どこかアンタッチャブルなものになり、妊娠について教育、言及を避けてきた時代が長く続いた。

 「子どもは作ろうとすれば、当然すぐにできると思っていたし、加齢によって妊娠・出産が難しくくなるなんて、誰も教えてくれなかった」と、50歳にして卵子提供と体外受精を実施して妊娠、出産し議論を醸した野田聖子議員。

 「卵子の老化」が、3年前に『クローズアップ現代』(NHK)で特集されてから、世間でもようやく言われはじめた。しかし文部科学省が高等学校向けに保健体育の副教材として作成した『健康な生活を送るために』では、妊娠と年齢の関係を取り上げるも、グラフのミスなど右往左往。

 さて、35歳のCさんは、彼氏と「子どもができたら結婚しようね」と約束していて、彼にはナイショで排卵日をこっそりチェック。妊娠しやすい時期を狙って、彼には伏せたままセックスに誘い、デキ婚に持ち込もうと狙っている、という。

 それに対し、女子会のナビゲーター役を務める、ニューカマーなオネエ系キャラで人気の汚ブス研究家・KENJIさんからは「堕胎が不可能な時期になってから告げる、という女性もいると聞いた」と驚きの証言が飛び出した。

 妊娠・出産に年齢的な限界がある、とお尻を叩かれはじめた女子たちのリアルな姿がここに垣間見られるようだ。

(3)交際0日婚、見合いも!? さまざまな結婚の選択肢

■“交際0日婚”はいまの日本で合理的な選択か?

 また山本耕史さんが堀北真希さんにしたプロポーズ、「交際するより結婚しましょう!」に強い憧れを抱く声も聞かれた。「30代女子はもれなく憧れていますよ」と語る。

 “交際0日婚”。

 結婚をコスパで考えたり、恋愛を必要としない若者の姿が浮かび上がったり(6月に発表された内閣府の「少子化白書」)と、結婚、恋愛の必然性が失われるなか、でも子どもはほしい。

 かといっていまの日本で未婚で産む、という選択をするには相当の勇気が必要であり、またフランスのように文化として浸透していなければ、制度も整備されていない。

 とすると“出産願望”がために結婚したい、という女性たちが、恋愛を経ることなく結婚できたら、と“交際0日婚”を夢見るのも頷けるところだ。

“恋愛結婚”は実は日本人には向いていない?!

 ところで、現代の結婚といえば、恋愛結婚がスタンダートだろう。

 しかし「実は恋愛結婚というのは、本来日本人には向いていないものです」と語るのは、夫婦・家族問題評論家であり、3万件を超える夫婦や家族の相談を家族問題コンサルタントとして受けてきた池内ひろ美さんだ。

 1950年代まで、日本では見合い結婚が主流であり、恋愛結婚のほうが少なかった。しかし60年代に逆転。かつては7割ほどが見合いで結婚していた時代もあったが、いまや5%程度にまで激減している。

 この現象について池内さんは「戦後、欧米から“ロマンティック・ラブ”の概念が流入してきたことによって、恋愛結婚が急激に増加していきました」と語る。しかしそれは「本来の日本人の精神性には合わない」と指摘。「本来“愛してる”などと口にしないのが日本人。“月がきれいですね”というのが日本人らしい愛情表現のありかたです」と、夏目漱石が“I love you”を“月がきれいですね”と訳した逸話になぞらえて語る。

「外国人男性の愛情表現を日本人男性も見習ってほしい」の声

 しかし女子会参加者たちは「外国人は言葉ですごく愛情表現をしてくれる。日本人男性はシャイなのか、“好き”とか“愛してる”とか言ってくれない。物足りなさを感じてしまう」。なお今回の女子会参加者は、全員外国人男性との交際経験があった。

 ゲストのスザンヌさんも「好きだよ、愛してるよ、って言葉にしてもらうことによって、愛されてる実感を持てて安心するんですよ。夫婦間や恋人間では口に出して愛情を伝え合ったほうがいい」と言う。

 しかし、これらは日本に戦後“輸入”された“ロマンティック・ラブ”なるものへの幻想、とは言えまいか。いわば輸入された欧米式の価値観が見せる幻影に、私たちは惑わされているだけなのかもしれない。

婚活飽和時代のいまだからこそ見直される「見合い」という選択肢

 また池内さんは、結婚相談所や各種のマッチングについて、あまり推奨しない立場を取っている。なぜなら、結婚というものを、当人同士、一対一でしか考えておらず、どちらかというと出会いの場、(結婚に向けた)恋愛をするための場だからだ。

 それらと似ているようで、実はまったくの対極にあるのが、本来の日本的な見合いだという。

 釣書きを交わし、成育歴だけでなく、両親や兄弟姉妹の職業、おおまかな性格等も明らかにした上で行う見合い結婚。「育った環境で価値観は作られます。価値観は親兄弟からも影響を受けて形作られますので、本人同士だけの“出会い”ではなく、親族も含めて知る“見合い”は、離婚に至りにくいものです」(池内さん)。

 さらに、男性と女性双方の両親を知る人が紹介者であれば理想的な見合いだという。