伊香保温泉でフラダンサーたちのフジロック！

「日本の温泉とハワイ」の不思議な原点

　伊香保の温泉街を歩いて驚いたことがもう1つあります。それは、ここがあの温泉饅頭（まんじゅう）の発祥地だったことです。温泉街に行けば必ずと言っていいほどお土産で売っている、茶色のお饅頭の元祖が、この伊香保だとは思いもしませんでした。

　初めて温泉饅頭を作ったのは、伊香保の団子屋「勝月堂」だと言われています。勝月堂の店主が江の島の饅頭をお土産にもらった時に「湯の色をした独特の饅頭を作って、それを名物にしてみては？」とのアドバイスを受けたのがきっかけです。伊香保温泉の湯の色は茶褐色。そこで黒糖を使った温泉饅頭が誕生しました。

　その後、伊香保を訪れた昭和天皇がこの温泉饅頭を大量に購入されたことから有名になり、全国各地の温泉地に広まっていきました。ほどなくして、温泉饅頭は温泉街定番の名物として、「お土産界の横綱」という地位を確立したのです。

　ハワイフェスを一通り鑑賞するために、坂や石段を何往復もしてしまいました。棒のようになった足の疲れを癒やすために、温泉施設を見つけて温泉を堪能しました。

　風呂あがりには、やはりビールです。おつまみは元祖・温泉饅頭にしてみました。

伊香保の元祖・温泉饅頭を食べてみた

　隣に目をやると、同じように風呂あがりにビールと温泉饅頭を楽しんでいるフラダンサーらしき女性がいました。ハワイアンフェスの期間ですから、店内に流れる音楽はもちろんハワイアンです。

　道すがら、所々にミニステージがあり、アロハを着た恰幅（かっぷく）の良いオジサマバンドがウクレレ片手に熱演している姿が見られます。

　足湯が堪能できる無料温泉施設、美味しそうなお蕎麦屋さん、温泉街にはなぜか欠かせない昔懐かしい射的場。そこに流れてくるハワイアンミュージックの生演奏。不思議な世界です。

　でも考えてみると、伊香保に限らず日本の温泉街には、何故かハワイアンをコンセプトにしたサービスが多いと思いませんか？　BGMもそうですが、ホテルの余興なども、ハワイ関係が多い。

　これまでは気に留めたことなどありませんでしたが、かの有名な福島県にあるスパリゾートハワイアンズを筆頭に、日本の温泉にはハワイを感じさせる要素が沢山あります。

　温泉とハワイ。そして、フラダンス。これは、日本で独自に進化しているとてもユニークなミックス文化です。

　それは、ここ伊香保から始まったのです。きっと。

Profile

十代目 萬屋五兵衛（じゅうだいめ・よろずやごへい）
本名：高橋久晴。株式会社更竹代表取締役。大学卒業後、音楽業界から職業人歴をスタートさせる。制作、宣伝を中心に独自のマーケティング戦略で有名ミュージシャンやアーティストたちと多くのプロジェクトを成功させる。その後、飲食店開発の企業に転職し、飲食店をリアルメディアとしたマーケティング部門や、他業種のリアル店舗をつなげた新BGMサービス事業、フィットネスコミュニティ事業など、ライフスタイル事業を幅広くプロデュース。数社の役員を歴任後の2013年、家業の会社を軸に自身の経験を活かした企画コンサルティング事業を開始。「現代版よ・ろ・ず・や」というコンセプトを掲げ、多くの企業のプロジェクトに携わっている。

※萬屋五兵衛:1700年代から家系伝承されてきた職業名

（2015.10.22　CAMPANELLAより転載）

文／十代目 萬屋五兵衛

CAMPANELLA［カンパネラ］

読者にビジネス情報を提供してきた日経BP社と、ビールを始め数々のお酒や飲料・食文化を創造してきたアサヒビールが一緒になり、「人生を豊かにするクリエイティブ力＝遊び力」が高まる話題をお届けします。仕事やオフに関わらず、話題の情報を発想の転換に役立つ情報を提供していきます。
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