<防止策2>
内覧ではここを見る! 「この家、大丈夫?」は、ここで判断

 物件の内覧の際、「扉や窓の開閉がスムーズか」についても確認してみてください。家がゆがんだり傾いたりすると、こういった点にもガタがきます。この点は物件を内覧する際に見落としがち。実際に入居するとなかなか上手く開かずにトラブルになることもあります。またスムーズに開かない場合には、物件自体が傾いていたり器具の設置不良があったりする場合もあります。極端な例では、鉛筆やボールを床に置くと転がってしまう、というケースもあります。

 ちなみに、2000年には、「品確法」(正式名称:住宅の品質確保に促進等に関する法律)と呼ばれる法律が施行されています。これは、新築住宅について、手抜き工事等を防ぎ、住宅の品質を良くして消費者を守っていこうという法律です。これにより新築住宅の基本構造部分に関して、売主に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられました。この「瑕疵担保責任」とは入居した後で基本構造部分(柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分をいいます)に欠陥が見つかった場合、売主や施工者が無償で補修しなければならないという内容です。

 もっとも、これは新築住宅のみに適用される法律ですので、中古住宅の場合にはこの法律による保護はありません。

 基本構造部分に怪しい点がないか、扉や窓の開け閉めなどであらかじめ十分チェックしておくべきです。なお、中古住宅の場合であっても、民法または契約上の瑕疵担保責任による保護が受けられますが、その期間は品確法よりも相当短い期間(契約で引渡しから2年となっている場合が多いです)しか認められないことになっています。

<防止策3>
やっぱり気になるご近所問題。事前に知る方法はないの?

 音がうるさいなどの「ご近所問題」は、やはり皆さん一番気になるポイントではないでしょうか。

 事前にどのような対処ができるのでしょうか。近年ではそのような要求を受け、引っ越しを決める前に建物調査や周辺調査を代わりに行うサービスを提供している企業や探偵事務所などの第3者機関があります。

 実際に住んでみなければわからない情報もありますが、事前に情報がほしい際には利用することも可能です。

 もう少し簡単な方法としては、前に住んでいた人がいる場合には、その人に話を聞いておくといいでしょう。物件の売買の場合には、売りたい一心のために言わないケースも考えられますが、不動産を売る際に嘘をついてはいけない、というルールになっていますので、まずは聞いてみるのがいいでしょう。

<防止策4>
契約のチェックポイントを押さえて!

 あなたにピッタリの物件が決まれば次はいよいよ契約です!契約の際、不動産会社が間に入る場合には、重要事項説明書という形で重要な点について説明がなされますので、その説明を必ずよく聞いておきましょう。

 まずは賃貸借契約においての最低限のチェックポイントをご説明いたします。

<賃貸借契約 契約書チェックポイント>

(1)物件の設備にあたるものは何か。
 エアコンや電灯は備え付けなのか。インターネット利用の可否と料金、宅配ロッカーの有無、駐輪場や駐車場の利用可否、収納スペースの広さ(タワーマンションでは別部屋に収納スペースがあることがあります)など。そして、それらが故障した際には誰が修理代を負担するのか。

(2)契約期間・敷金・礼金・家賃・更新にあたる条件や期間・家賃の支払方法はどうなっているか。

(3)何か起こった際に連絡する、家主・管理会社の連絡先は明記されているか。

(4)どのように解約・退去手続きを行うのか。一定期間以内の解約の場合や、設備の破壊などの場合に違約金の設定はあるのか。

公私ともに生きる「宅建士」資格

 さて、「重要事項説明書」の交付や「契約書」の締結には、宅建士からの説明や押印が必須となります。

 宅建士の資格を持っていればこれら契約の内容を理解し、契約に関するトラブルを事前に防ぐことが可能となります。

 宅建士は「士業(弁護士、行政書士など)」と言われる職種の中でも、比較的短期間で取得できる資格と言われています。短い人なら2カ月ほどで取得が可能です。といっても一方、合格率は毎年2割を切っています

 宅建士は、宅建業法上、事業所や案内所に設置しなければならない義務がある一方、合格率は毎年2割を切っていますので、宅建士のニーズは高く、資格を保有していれば不動産業界などで転職に有利です。これを機会に、プライベートでも仕事面でも活用できる「宅建士」を目指してみるのはいかがでしょう。

 「住環境」は生きていく上で非常に大切なもの! 幸せな時間を過ごせる物件に出会えることを願っております。

プロフィール
資格スクエア代表 弁護士 資格カタリスト
鬼頭政人さん
1981年生まれ。開成⇒東大⇒司法試験に一発合格。都内弁護士事務所、政府系投資ファンドを経て、2013年12月に起業、資格試験のオンライン対策サイト「資格スクエア」を立ち上げる。「司法試験、司法書士、行政書士、宅建士といった難関法律資格に強みを持つ。」資格試験を通じて仕事に誇りを持って働く人を増やしたいと考え、受験生に勉強法や受けるべき資格を指南。著書に『頭のよさとは「ヤマを張る」技術のことである』(中経出版)。