今でも“稼ぎのいい夫”はステイタス”?

――先日のイベントで「主夫の友」の皆さんが、「出汁は必ず取る」と当たり前のようにおっしゃっていて驚きました。なかには「生キャラメルまで作る猛者もいる」そうですね。

白河 彼らはすごくちゃんと家事育児に取り組んでいますからね。夕方の16時から20時までは、「子育てのゴールデンタイム」として、SNSも一切しないほどです。

――実際、「主夫」を望む女性は、増えているのでしょうか?

白河 もちろん一概には言えませんが、若い共働き世帯では、「構わない」という人もいれば、「まったくの専業主夫は嫌」という声もあり、まちまちですね。FBでフォロワーさんに聞いたところ、「自分が7で相手が3くらいまでの収入割合が限度かな」という意見も。ただ、“こうあるべき”という形はないので、状況に合わせてその都度、夫婦で話し合いながら歩んでいくことがベストと柔軟にとらえる人も少なくないと思いました。

――「自分としては“あり”だけれど、周りの目が気になる」という声もあります。“稼ぎのいい夫を持つことが女性のステイタス”という風潮はまだ強いのかなという気もします。

白河 私にカミングアウトしてくれた人も、取材のお願いをすると「それはちょっと…」という人が多かったんです。夫のプライド問題もあって、やっぱりまだまだみんな言えないのかなと。ただ、時代は確実に変わってきていますよね。今や、妻を専業主婦として養えるとされる「年収600万円以上の独身男性」は、5%しかいない。彼よりも年収が高い女性は、4人に1人というアンケートを見たことがあります。夫だけの収入でやっていくというのは、もはや現実的ではありません。

 私の今年の目標は、「男女役割分担の壁を壊すこと」。そこがなかなか進んでいない。文化的に培ってきてしまった習慣をいったん壊さないとダメだと思っています。

――どうすれば、その壁を壊すことができるのでしょうか。著書では、「女性自身が意識を変えていくことも大事」という指摘もありましたが…。

白河 女性側もどこかでまだ「稼ぐのは夫の役目だし…」と思っている部分があると思うんです。そうした固定観念を捨てて、自分もずっと働いて稼いでいくんだという意識と覚悟を持つ。やりがいがない職場に配属されたからと辞めてしまうのではなく、働くという選択肢は当たり前のものとして持っておく。そうすることで、夫に堂々と「家事にしっかりと関わってほしい」と伝えられます。

 もちろん社会や会社のバックアップも欠かせません。ワーママ達からも「育休を義務化してほしい」という声があります。「男性は自分から会社に逆らったりできないから」と。男性はなかなかパイオニアになれないんです。社会的な生き物ですからね。

――育休と言えば、昨年末、自民党の男性議員が育休取得する意向を示し、賛否両論を呼びました。白河さんはどう見ていらっしゃいますか?

白河 ぜひ何らかの形で育児とがっつり向き合ってほしい。だいたい国会議員に子育て経験者が少なすぎます。世代を考えると仕方のない部分もあるとは思いますが、主たる責任を持って子育てに関わった経験を持つ人は、ほとんどいないのでは? 国会議員が、「育児休業を取ります」と宣言すること自体がパラダイムシフトに繋がると思うんです。

――育児経験を政治に持ち帰ってもらえれば、リアルな発案にも繋がりますね。ただ、「国会議員は任期があるから」「両立しやすい環境なのに、わざわざ育休を必要はない」という反対意見も少なくありません。

白河 会社員よりは両立できるかもしれません。国会議員は労働者ではないですから、ある程度時間の裁量がある。全面的に休むのではなく、関わっていけるでしょう。ただ、「国会議員だから滅私奉公すべき」という考えは、おかしいと思うんです。“ひとつのことに滅私奉公し、他は捨てろ”という考えを尊いと思う気持ち自体が、私は日本を間違った方向に向かわせていると思っています。

変更履歴:公開当初、撮影者名に誤りがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです 2016年1月15日)。