ほうれい線やたるんだ目元。“老け見え”原因の最たるものは、やはりシワではないでしょうか。肌のハリ・弾

力を助ける「弾力線維エラスチン」は、シワ対策において非常に重要な役割であるとして、最近美容のトレンド

になっています。そんな「エラスチン」について、アンチエイジングを専門とする医師・日比野佐和子さんにお

話をうかがいました。

専門家に聞きました
シワやハリの低下は、弾力線維エラスチンの変化も影響

<b>Rサイエンスクリニック 院長 日比野佐和子さん</b>
Rサイエンスクリニック 院長 日比野佐和子さん
大阪大学医学部大学院医学系研究科卒業・博士課程修了。現、大阪大学医学部大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座特任准教授。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長を経て、平成25年に同院院長に就任、現在に至る。

 美容分野のなかでも、シワに関する皮膚科学の研究は日進月歩。そんな中、シワに大きく関わっていると判明していることのひとつが、今回紹介する「弾力線維エラスチン」だ。シワやハリの低下をコラーゲンの減少や乾燥だけが原因だと思い込んでいる人も多いはずだ。

 「もちろん、コラーゲンの減少や乾燥はシワの原因の一つではありますが、実は現在の研究では『エラスチン』という弾力線維の変性がシワに大きな影響を与えるということがはっきりしており、注目されています。エラスチンは今のトレンドですね」と語るのは、アンチエイジングを専門とする医師の日比野佐和子さん。

 弾力線維エラスチンの特徴は、そのゴムのような弾力性と伸縮性にある。皮膚だけでなく人体に広く分布しているが、伸び縮みして活動する臓器には多くのエラスチンが存在するという。つまりエラスチンは、伸縮に欠かせない成分ということだ。

「真皮の構成においてコラーゲンは約70~80%ですが、エラスチンは約2%しか存在していません。とはいえ、エラスチンはコラーゲン同士を支え、皮膚の弾力を保つバネの働きをしているため、肌のハリをキープするうえでなくてはならない存在です」と日比野さん。

 ベッドにたとえるならば、コラーゲンはマットでエラスチンはスプリング。コラーゲンというマットがあったとしても、エラスチンがなければ弾むことなく沈んでしまう。そのため、コラーゲンの減少だけではあまり影響がなくても、エラスチンが変性すると著しくシワやたるみが発生してしまうのだという。ではなぜ、エラスチンは変性するのか。日比野さんはこう言う。

 「皮膚の中には、エラスチンの変性を促す分解酵素『エラスターゼ』が存在します。この分解酵素は紫外線や加齢、ストレスによりその働きが強くなってしまうことがわかっています」

 なかでも、肌の老化に一番影響を与えるのは紫外線だといわれている。

 「夏に紫外線を浴び続けて疲れた肌は、分解酵素が増えてエラスチンの変性が進んでいます。秋になって乾燥してくるとさらに皮膚はダメージを受けるので、冬に向けてしっかりリカバリーしないと深いシワが刻まれてしまいます」と日比野さん。紫外線はシミだけでなく、シワにも大きな影響を及ぼしている。見た目年齢を左右するシワを作り出してしまう紫外線は、美肌の大敵なのである。

肌の弾力を支えているのは、コラーゲンとエラスチン!
<div align="center">肌の弾力を支えているのは、コラーゲンとエラスチン!</div>
小ジワは肌表面の乾燥により起こることが多いが、深く刻まれたシワの原因は肌表面ではなく肌の奥深いところにある。肌は表皮、真皮、皮下組織の3層構造。真皮には、肌のハリを保つ働きをする弾力線維エラスチンやコラーゲンが存在するが、残念なことにエラスチンは紫外線や加齢の影響で切れたりゆるんだりと変性する。それにより、肌の弾力を保つバネが壊れてしまうことになるため、肌が落ち込み、深いシワができてしまうことになる。

 「そのほかにも糖化や活性酸素、女性ホルモンの低下といったことがエラスチンの変性を促します」
 詳しく伺ったので、「弾力線維エラスチンを変性させる主な要因」の項目を参考にしてほしい。

弾力線維エラスチンを変性させる主な原因
<div align="center">弾力線維エラスチンを変性させる主な原因</div>