老後安心を決める3つのポイント

 老後のお金に不安がある人とない人では何が違うのでしょうか?「日経WOMAN」が2020年1月に行ったアンケートの結果を分析すると、老後に不安がないと答えた「老後安心派」と不安があると答えた「老後不安派」で大きな差が出た項目が3つありました。

 第1に1年間に使う生活費が分かっていること。第2に過去1年の資産の増減が分かっていること。第3に「ねんきん定期便」を定期的にチェックし内容も理解していることです。

 「使っているお金」「貯めているお金」「将来の年金」の3つを把握していることが老後不安を解消するのです。

【ポイント1】1年間に使う生活費が分かっている

1年間に使っている生活費(住居費、食費、通信費、娯楽費など)がいくらか知っていますか。

 1年間に使う生活費をしっかり把握している人は、全体のわずか12.4%。しっかり把握している人は老後安心派のうち22.6%、不安派では10.7%のみ。安心派の方が生活費を把握している人の割合が多い結果に。

【ポイント2】過去1年の資産の増減が分かる

過去1年でどれくらい金融資産が増減したか(貯蓄高と投資分の時価などの合計)把握していますか。

 過去1年の資産の増減が正確に分かっている人は、全体の14.3%のみにとどまりました。老後安心派のうち正確に把握している人は26.7%。不安派では11.6%しか把握できている人がいませんでした。

【ポイント3】「ねんきん定期便」の内容が分かる

年に1度届く「ねんきん定期便」の内容をチェックしていますか。

 「ねんきん定期便」の内容をチェックし、理解している人は全体の27.6%。老後安心派のうち内容をチェックして理解もできている人は38.7%に上りました。不安派の48.0%は「見ても内容が分からない」と回答。

※アンケートは2020年1月、日経WOMAN公式サイトで実施。有効回答数607。「老後不安派」は全体の85.4%、「老後安心派」は同14.7%。円グラフの数値は、小数点以下第2位四捨五入のため合計値が必ずしも100%とはならない。

 次回は最終回。老後のために「やるべきこと」をお伝えします。

第1回・一生を4つの時期に分けてデザイン 困らない老後のお金
第2回・必要なマネースキルは何? 老後のお金に困らない3原則 ←今回はここ
第3回・20〜60代 世代ごとに変わるお金のToDoリスト

文/井戸美枝 イラスト/こつじゆい


井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、経済エッセイスト
井戸美枝 社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説している。近著に『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと介護のこと』(東洋経済新報社)、『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!』(集英社)、『定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門!』(日本経済新聞出版社)など。井戸美枝オフィシャルサイト