世界中の女性起業家と切磋琢磨し合った10日間

 アワード・ウイークでは、ほかのファイナリストたちと朝9時から夜の10時まで、ワークショップやコーチングセッションなどに参加。当初は「プレッシャーで逃げ出したくなっちゃうかも……」と危惧していたそうですが、実際に参加してみるとそんな心配は無用でした。スパルタながらも、ファイナリスト同士リスペクトし合ったり、チームワークが芽生えたりする環境をとても楽しめたのだそう。

 「中でも特に仲良くなったのは、インドからのファイナリスト・Priya Prakashさん。インド国民の健康状態を底上げするための子ども向けの教育事業を立ち上げている起業家で、彼女の『人生を懸けて経営に取り組みたい』という気持ちにとても刺激されました。

 その他の参加者も、新薬の開発事業やフィットネス事業など、手掛ける事業内容は本当に十人十色でした。ただ共通していたのが自分たちの『原体験』をもとに事業を展開しているということ。

 私も女性に囲まれていた環境からSHEの事業内容に至ったので、自分の原体験を強みにしてきたいと思いました」

世界中から集まったCWIファイナリストとの集合写真(写真提供/中山さん)
世界中から集まったCWIファイナリストとの集合写真(写真提供/中山さん)

あきらめないで必死に手を伸ばせば、絶景が見える

 プライズの受賞は逃したものの、「We are all the winners」という言葉が自然と出てくるくらいにやりきった気持ちが湧いてきたのだそう。「自分に自信を持てたし、ほかのファイナリストのことを本当に思いやることができたので、結果に後悔はありません」

 こう話す中山さんがCWIから学んだものは、「決してあきらめない」こと。

 「初めてのことばかりで、正直、自分の人生で一番と言っていいほど過酷な経験でした。途中で諦めようと思ったときも……。しかし、スタッフをはじめ、いろいろな方に支えられた結果、私は絶景を見ることができました。『If you keep reaching the stars, there will surely be a great view!(あきらめないで必死に手を伸ばせば、絶景を見られる)』。それが今回、私の学んだことです」

 最後に、講演へ足を運んでいる方々にメッセージを残してくれました。

 「CWIを通して、世界中から集まったミレニアル世代の女性経営者に出会うことができました。自信はなかったですし、日本人の私でいいのかと考えてしまうことも。しかし、彼女たちとディスカッションを重ねていく中で、日本女性も世界で戦うことができるポテンシャルを持っているな、と確信しました

 また、令和に元号が変わるこのタイミングで、大きく変化する時代の中で生きることができることがすごく貴重だと感じています。SHEを立ち上げて1~2年で、スタッフも増え、社内での働く制度や仕組みも大きく変わりました。希望に満ち溢れたこの時代で、皆さんが素直に自分の望む行動を取り、自分らしく生きていけるようになることを願っています。そして、SHEとしても、そんな皆さんをサポートする存在でいたいです」

Q&Aセッションでは、20代女性からの質問が相次いだ(写真左は、司会を務めた日経doors編集部の小田舞子)
Q&Aセッションでは、20代女性からの質問が相次いだ(写真左は、司会を務めた日経doors編集部の小田舞子)
8月、中山さんの連載がスタート!
新連載では、皆さんからの、あんな質問、こんな質問に中山さんがズバリ答えます。下記のURLから中山さんへのご質問をどしどしお寄せください。
(例/「紗彩さんはリクルートキャリア時代、新規サービスを立ち上げ、事業売却までされました。新しいサービスを考えるときは、どのようにアイデアを出しているのですか?」「仕事の仲間はどうやって集めていますか?」「毎日、どうやって情報収集をしていますか?」など)
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取材・文/橋本 岬 写真/辺見真也(セッション)、アライテツヤ(プロフィール)

※日経doors過去記事・中山紗彩「可能性を制限されるのはイヤ」違和感から起業