先の見えないコロナ禍で忙しく働きストレスフルな毎日。そんな中でも、ストレスをはねのけ、明日への活力をもたらしてくれたエンタメ作品を著名人に聞くリレー連載。今回はAwesome City Club(オーサム・シティ・クラブ)のボーカル、PORINさんに登場してもらいました。後編では、ほぼ毎日聞いているという宇多田ヒカルさんの魅力や、ソロプロジェクト「Pii(ピィ)」の原点となった実家の造園業について話を聞ききました。

前編 オーサムシティPORIN パンパンヤ、大友克洋に衝撃
後編 紅白出場PORIN 生け花で自分と対話しアイデア生む ←今回はここ

PORIN。2013年に結成された音楽グループ「Awesome City Club」のボーカル。21年に公開された映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソング「勿忘(わすれな)」は、第63回日本レコード大賞で「優秀作品賞」を受賞。第72回NHK紅白歌合戦への出場も果たす。ソロプロジェクト「Pii(ピィ)」としても活動
PORIN。2013年に結成された音楽グループ「Awesome City Club」のボーカル。21年に公開された映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソング「勿忘(わすれな)」は、第63回日本レコード大賞で「優秀作品賞」を受賞。第72回NHK紅白歌合戦への出場も果たす。ソロプロジェクト「Pii(ピィ)」としても活動

朝起きて最初にすることは「宇多田ヒカルさんの曲を聞く」

編集部(以下、――) バンドやソロプロジェクト、アパレルブランドのディレクションなど、忙しい日々の中で、大切にしていることや欠かせないルーティンはありますか。

PORINさん(以下、PORIN) 朝起きてまず、宇多田ヒカルさんの曲を聞いています。ほぼ毎日聞いているんじゃないでしょうか。

 私たちミレニアル世代は、中高生時代から宇多田さんの曲が身近にありました。だから当時の私も周りの友人と同じように、「流行っているから」という理由で聞いていました。

 宇多田さんにどっぷりハマったのは、活動休止を経て、再始動した16年に発売されたアルバム「Fantome(ファントーム)」を聞いたとき。それまでは言葉遊びやグルーヴ感のあるリズムの曲が多い、というイメージだったのですが、最近の作品はとにかく日本語が美しくて。分かりやすい言葉を歌詞に選んでいるのだけれど、つなぎ合わせると新しい表現になっている、という印象を受けます。曲の温度が高すぎず低すぎず、寄り添ってくれる感じが、今の私にはとても心地いいんです。

―― 宇多田ヒカルさんの曲を聞いて、一日のスイッチを入れているんですね。

PORIN 朝起きて宇多田ヒカルさんの曲を聞くと、「よし、今日も頑張ろう」という気持ちになります。

 そのほかには、新型コロナウイルス禍を機に、生け花を本格的に始めました。実は実家が造園業を営んでいて、私自身も大学は造園を学べる家政学部を卒業しているんです。だから花や植物が常に生活の中にありました。