やりたい仕事はひとつに決めなくてもいい

紗彩 今の教育は、夢を聞かれたら、「スポーツ選手」「パティシエ」「医師」など、誰もが想像できる既存の職業を言わなくてはいけない風潮があると感じます。でも、「ミライstudio “WOW”」では、夢を具体的な言葉ではなく、抽象表現で直感的に表してもらいました。

 事実、世界経済フォーラム(WEF)が2016年に発行した報告書「The Future of Jobs and Skills(未来の仕事とスキル)」内では「現在小学校に入学する子どもたちの65%が、現時点では存在しない完全に新たな職種に就くことになる」と発表されていたりしますしね。

 この活動を通して、逆に子どもたちから私が教えてもらったのは、「(子どもたちが)自分が大切にしたい理念やビジョンを定めること」を、大人たちはサポートすべきだということ。それを実現する手段は時代によってどんどん変化し続けると思うんです。だから、まずはブレない「軸」を強固なものにすることにフォーカスする。職業は「手段」でしかない。手段は柔軟に変化させ続ければいいと思うんです。

 これからはひとつの会社はもちろん、ひとつの専門性に依存せず、どんどん新しいことを吸収し変化し続けることが求められる時代。だからこそ、想像性と創造性がとても重要になると思います。それなのに、一方的に指導者が過去の固定概念を教える日本社会の従来型の教育では、その力は培うことが難しくなってしまうと思います。

 だからこそ、次に私が手がける事業は、未来の子どもたちの新しい可能性を引き出すパーソナル・グロース事業や、新しい価値観に対応するようなライフスタイル事業を検討していきたいと思っています。1~2年以内には本腰を入れて取り組めたらいいなと思っていますね。

SAAYA’S RULE
●ルールに縛られずに、「なぜだろう」と疑問に思ったことは素直に聞く
●夢は言語化できなくていい
●これからはよりクリエイティブな考え方が求められる

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取材・文/橋本岬 写真/中山紗彩さん提供